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原発と復興を考える 3 貧困の連鎖
JUGEMテーマ:大地震
 

3 原子力問題と復興への提言

 災害による貧困と貧困の連鎖

 

 被災地では今後に生活保護受給者が増大しますが、子どもにとって、貧困は親から子へ受け継がれる「貧困の連鎖」や「貧困の再生産」になることも問題です。原因は学歴の階層化が考えられるので、近い将来に、被災地の子どもが優先的に大学へ進学ができる仕組みを作るか、大学の教育のあり方を抜本的に考えなおすか、学歴社会そのものを見直すかの選択がせまられることになります。

 

 先ず、以下の貴重な調査を見てください。

「子どもの最貧国・日本」山野良一著

 光文社新書 2008年9月20日発行

108p〜

3県の17児童相談所が平成14年度に子どもの保護を実施した501ケースを分析した日本子ども家庭総合研究所の高橋重宏氏らの研究では、個々の各家庭の経済状況を課税状況という形で客観的に拾い上げて分析しているので非常に意義深いものです。

 通常、子どもを保護する場合は、深刻な児童虐待ケースが多いため、そうした家庭の経済状況をこの研究では垣間見ることができます。

 ・・・略(本書を買って読んでください)・・・

「生活保護」・「市町村民税非課税」・「所得税非課税」世帯は、わが国の家計の標準状況からすると、明らかに低所得の世帯と考えられます。

109p〜

 この調査では「生活保護」世帯が20%弱あり、さらに「市町村民税非課税」「所得税非課税」世帯を合わせると、約45%をこうした低所得家庭が占めていることになります。「所得税課税」世帯は、約24%でしかないです。また、経済状況が不明な家族(「不明」「無回答」)を除いて再計算すると、「生活保護」「市町村民税非課税」「所得税非課税」の低所得世帯は、なんと約65%を占めていることになります。

 さらに、「生活保護」世帯にのみ注目すると、調査が実施された平成14年度に生活保護を受給している子どもたちは、子どもたち全体の1%以下でしかありません。ところが、この調査では、20%に近い数字(経済状況が不明な家族を除いて再計算すれば約29%)で「生活保護」世帯が存在しており、少なくとも20倍以上の差が見られるのです。

 また、この高橋氏らの調査においては、親の最終学歴(中退を除く)を尋ねています。父親の学歴はかなり無回答が多く統計的には問題ですが、母親の学歴は、無回答を除き再計算すると、中学校卒業が51%、高校卒業が40%、大学卒業が1%となっています。

 

 そして以下の記述を読んでみてください。

「ルポ 生活保護」本田良一著

 中公新書 2010年8月25日発行

56p〜

 「貧困の連鎖」はさまざまな要因が考えられる。カギとなるのはやはり所得だ。

「社会階層と社会移動全国調査」(通称SSM調査)といわれるものがある。特定の機関ではなく、国内の社会学・教育社会学研究者グループが1955年以降、10年ごとに行っている。そのデータによると、父親の学歴(本人の学歴ではない)が高くなればなるほど、子どもの年収も高くなるという関係が示されている。2005年の調査結果では、父親が大卒の場合、年収650万円以上は五割弱を占め、年収300万円未満は二割弱にすぎないが、父親が中卒の場合は年収650万円以上は三割弱にとどまり、年収300万円未満は二割強となる(『週刊ダイヤモンド』2008年8月30日号)。これは「貧困の連鎖」というコインの裏側を示している、といえる。学歴の高い親はおおむね比較的恵まれた年収の仕事に就き、経済的に余裕があるので、子どもによい教育環境を与え、塾に通わせるなど多くの投資もできる。その結果、子どもは高学歴となり、いい仕事に就く。

 

「貧困の連鎖」大阪府堺市健康福祉局理事の道中隆氏の調査

54p〜

06年4月時点で、堺市で生活保護を受けていた3924世帯のうち、390世帯をランダムに抽出して調査したところ、世帯主の学歴が中卒(高校中退を含む)は72.6%で、生活保護を受けて育った世帯主も25.1%あった。

 そのうち母子106世帯の母親について見ると、中卒は66.0%、生活保護を受けた家庭で育ったのは40.6%たった(道中隆「保護受給層の貧困の様相―保護受給世帯における貧困の固定化と世代的連鎖」『生活経済政策』127巻、2007年8月)。

 こうした調査結果を踏まえ、道中氏は「低学歴のまま、十分な技能も持てず、『就労自立ができなかったのは、個人の努力欠如』と個人の責任に帰着させるのではなく、社会問題として認識されるべきだ」と問題を提起している(産経新聞大阪社会部『生活保護が危ない』扶桑社新書、2008年)。

 

同書55p

低学歴と貧困との強い結びつきは、ほかにも、さまざまな研究で明らかになっている。たとえば、日本女子大学教授の岩田正美氏らが行ったホームレス調査(「平成二年度路上実態調査」)では、ホームレスの人々の学歴は「義務教育まで」が約六割であり、厚労省が2007年に行った全国ホームレス調査でも、学歴が中卒54.5%、高卒31.5%、短大・専門学校卒2.9%、大卒5.6%だった。

 

 母子家庭の現状は一層に厳しいようです。

同書54p〜

「生活保護受給母子世帯の子どもたちは、家庭的に不利な状況におかれ、さらに学校でも不利な状態に陥っている。さらに、学校卒業後の進路においても、希望の進路に進む上で、本人の努力とは関係のない不利な要因を抱えているといえよう。このように子どもたちは社会的に不利な立場にある母親を通して、本人の努力とは関係なく構造的に『不利な立場』に置かれているといえる」(釧路公立大学地域経済研究センター『生活保護受給母子世帯の自立支援に関する基礎的研究―――釧路市を事例に』二〇〇六年三月)

 

 震災による不安、震災による貧困と不安、が子どもにとって悪い影響の連鎖、悪い影響の拡大再生産となってはいけない。 

 

「子どもが育つ条件」柏木惠子著

岩波新書 2008年7月18日発行

188p〜

 子どもをしっかりみて、応答的な態度で接するには、親自身が不安を抱え込まず心理的に安定していることが前提となります。すなわち、親自身が生きているという実感や、自分の将来に対しての希望をもてなければ、子どもにゆったりした気持ちで向き合い、子どもをありのまま受け入れることは困難です。育児不安になるのは、これができていないケースです。

 親自身に心理的な安定がないと、子どもの言い分に耳を傾ける余裕がなくなって、頭ごなしに自分の考えを押し付けたり、不満のはけ口のように子どもの教育にのめり込んだりすることにもなってしまいます。あるいは、その逆に、自暴自棄になって、子どもをまったくかまわなくなりやすいのです。

 いずれにしろ、子どもの養育にあたる親自身が心理的に安定し、幸視感を抱いていることが、何よりも重要なことです。それには、親自身が成長・発達していること、その機会をもっていることが必須です。

 

イギリスのブレアによる宣言

「子どもの最貧国・日本」山野良一著

 光文社新書 2008年9月20日発行

 238p〜

「私は、歴史的な目標を掲げようと思う。私たちは、子どもの貧困を永遠に根絶する  初の世代になる。それには1世代の長さがかかるだろう。つまり、20年もの期間を要する  る目標だ。しかし、それは可能だと私は信じている」

・・・略・・・

「最初に、我々は、社会的な排除と子どもの貧困とコミュニティの衰退に、有効な方法で挑戦しなければならない。また、それらの根源的な原因である構造的な失業、不十分な教育制度や住宅政策、犯罪や麻薬の文化に挑戦しなければならない。社会的な排除によって無駄に使われている子どもたちの豊かな才能は、子どもたち自身の無駄ではなく、国家の無駄なのだ。そうした無駄に使われている子どもたちの才能を、社会のなかに解放し国家のために使おう」

講演のしめくくりの部分で、ブレアは言います。

 「私たちは、貧困な子どもたちが社会的な剥奪や排除にさらされ続けるという、社会的 不平等の連鎖を打ち破らなければならない。ゆえに、子どもたちに社会的に投資することが重要なのだ」

 

 以上の書を読んできて、今度の東日本大災害にあたって、先ずは、首相に被災地の子どもへの取り組みを決して蔑ろにはしない、力強い宣言をしてもらいたいことが分かる。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 大災害 | 10:29 | comments(0) | - | - | - |
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