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姫路の救急医療を守る市条例試案 102016.04.17 Sunday
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JUGEMテーマ:社会問題姫路の救急医療を守る市条例試案 その10
医療と介護の問題に取り組む地域リーダーの会
13年前に出版された本で“とっさの時に人を救えるか ――災害救急最前線――”橋爪誠著(中央労働災害防止協会発行 中災防新書)を再び読み直した。再び読み直して、再び思ったことは、地震列島に住む住人の必読書であることです。
何が書かれているのか?
26p〜最初の救急対応には、勇気がいる
・・・災害時や緊急の事態が発生した時に、負傷した人を最初に見たあなた方一人ひとりが、そのとっさの時に、どうすればよいのか、誰かが意識を失って倒れている場面に遭遇した時、どうすればよいのか。今後、そのような場面に出会った時のために、日頃より何を準備しておくべきか。何を知り、何を身につけておくべきなのかを中心にお話ししたいと思います
また、社会は、われわれ市民のためにどのような仕組みを用意しているのか、簡単にご説明したいと思っています、これは、ともに社会の一員として生きていくために、社会の仕組みをどう受け入れなければならないのかを知っておく必要があるからです。例えば、集団災害の場合には、優先順位(トリアージ=患者選別)がつけられ、助かる見込みのある緊急度の高い人から応急処置がなされるからです。
救急医療の最初の対応は、人を愛する気持ち、入の命の尊さを知り、勇気を持った者でなければ決してできるものではありません。この勇気は、前もって備えなくしては身につくものではありません。なぜなら、一刻を争う時に、これからお話しすることをあなた自身ができるかがかが、人の命を左右するからです。
・・・
災害とはどのような事態が起きた時のことだろうか?
28p・・・「災害」とは、被災地の対応能力をはるかに超えた人と環境との広範な生態系の破壊を指します。重大かつ急激な出来事が発生し、人間とそれを取り巻く環境との広範な破壊の結果、被災地域がその対応に非常な努力を必要とし、時には、外部や国際的な援助を必要とする程の大規模な非常事態のことを災害というのです。
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今回の熊本地震でも分かるように、大規模な災害では道路が寸断され、被害も広範囲に渡り、被害者の数も多くなれば、専門家による救命救急措置を受けることや、病院への搬送には時間がかかる。
自分が被災現場に居て、怪我をすることもなく元気な状態であれば、何ができるのだろうか?その時、人を救うことはできるだろうか?また、心構えはどうあるべきなのか?
41p・・・阪神・淡路大震災の時に明らかになったように、平時からの防災訓練が極めて大切です。特に、災害などが発生した時に、自分が何をしたらよいのか、何かできるのか、平時より役割分担を決めてはっきりさせておくと、比較的あわてずに、目的をしっかり持って行動することができます。災害に対する準備とは、まさに、その時に、自分は何をすればよいのか、どう行動すればよいのかを理解することです。
・・・
本書を読みながら、皆さんにも考えてもらいたい。
本のカバーと著者略歴を添付しておきます。
本書の第7章 瓦礫の下の医療 102pの、次のような記述に注目してもらいたい。
- ヘリコプターの活用を図り、ヘリポートは、病院も被災する可能性があるため、屋上より地上に設置する。
姫路に計画されている新県立病院では、ヘリポートは屋上となっている。
資料2を添付したので見てほしい。
資料にはこう書かれている。
2 新病院におけるヘリポート整備(委員会意見案)
(1)周辺の騒音対策、敷地面積の有効活用の観点から、新病院においては、ヘリポートは屋上設置を検討することが望ましい。
新県立病院は姫路の医療の中心になる病院として計画されている。当然、災害時にも災害医療の中心となる病院であるはずです。ヘリポートは屋上であってはならない。
病院計画が狭い土地に無理やりに建築されることに、ここにも疑問が生じる。何故に病院を中心とした、22haの再開発計画がある広畑に病院を建てないのかが、私には理解できない。広畑再開発地は、病院計画が進められている駅東の土地の7倍もあり、山陽電車の駅の前に広がる広々とした土地です。何故に駄目なのか、どの資料を見ても説得力がない。ヘリポート問題は病院計画を根本から問い直さなければならないことのようにも思える。
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姫路の救急医療を守る市条例を策定するための条例思案10
【10】重症の救急患者を収容する医療機関はその不採算性のために維持が困難であり、財政的なバックアップが必要。
1997年12月11目、厚生省健康政策局発表の救急医療体制基本問題検討会報告書では、「救急医療は“医”の原点であり、かつ、すべての国民が生命保持の最終的な拠り所としている根源的医療と位置づけられる」と述べられている。
救急医療は「健康的で文化的な」生活に欠かすことができない社会基盤である。国民が「いつでも、どこでも、だれでも」適切な救急医療を受けられることを望むのは当然であり、すぐれた救急医療サービスを実現するうえで、枠組みづくりにおける行政の役割と責任は大きい。
救急医療が“医”の原点であるのなら、救急医療政策が医療政策の原点ということにもなる。「目の前で苦しんでいる患者さんの求めに応じて、適切な医療を提供する」ことが“医”の原点ならば、苦しんでいる患者を一人でも多く救いたいとの使命感から、過酷な勤務状況に苦しんでいる救急現場の医師がいたのなら、その求めに応じて、適切な政策を提供することが医療政策の責務だと、私には思える。患者と医師の傷病に立ち向かう協働作業を支えるのが医療政策の原点であるだろう。
6年前に出版された“医療改革をどう実現すべきか”という書籍がある。ハーバード大教授陣が著したもので日本経済新聞出版社から出ている。最後に「なぜ改革に挑むのか」という項目がある。答えは参加者それぞれの個人的価値観次第であるが、いくつかの考え方が述べられている。
第1に、健康というのは、社会のすべての構成員にとって機会と幸福の両面において真に重要な要素である。したがって、健康状態の改善のために働く者は、ほとんどどのような倫理的観点からも真に重要な仕事をしていることになる。同じことは、大きな不安や喪失をもたらすことの多い病気の経済的リスクから個人を守る取り組みについてもいえる。
第2に、私たちの倫理観からは、そうした利益を社会的弱者に提供することは、とりわけ喫緊の課題であり称賛に値する仕事である。発展し続ける現代医学へのアクセスを改善させれば、数十億人とまではいかなくても数百万人の人類の命を政うことができるかもしれない。 略
第3に、医療改革は、困難でフラストレーションがたまるものではあるが、知性、エネルギー、情熱そして批判的思考によって大きな貢献ができる舞台であると私たちは信じている。医療改革は、分析力、対人能力、創造性、目的意識など人間の様々な側面を必要とする領域である。それには、政治、経済から文化的な要素、生物学的過程や哲学的信念まで、人間生活の様々な側面を理解する必要がある。
医療改革はリーダーシップや職人的技術を発揮する機会、そして真に価値のある仕事をする機会を提供してくれる。 略
「健康状態の改善のために働く者は、ほとんどどのような倫理的観点からも真に重要な仕事をしている」「人々の命を救うことができるかもしれない」「真に価値のある仕事をする機会を提供してくれる」医療と介護の問題に取り組む地域リーダーの会は本書から多くのことを学んでいる。
医療改革とはどのような社会を作りたいのかを体系的にとらえる作業である。
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