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在宅ホスピス奮戦記 16
JUGEMテーマ:病気
 

16 鈴木亘を読む。

   国民的議論の必要性について。

政治はつねにみずから作り出した現実を相手にしている

 

 前回の混合介護の続きです。

混合介護の利点

市場メカニズムの良さというのは、具体的に、自由価格の範囲があるために、

1) 需給調整の機能を一定範囲で果たすことができ、ヘルパー不足問題等に対処できる

2) サービスの質を高める努力をする業者は高い価格が付けられるという意味で、質向上への競争メカニズムが働く

3) 利用規制・参入規制のような暴力的手段を使わずに済む

220p

価格の自由化をすると介護サービス価格が急上昇するという批判がありますが、これは、三つの意味で非現実的な意見です。第一に、公的な給付額に上限があることから、これが

価格の重石(アンカー)となります。第二に、事業者間の価格競争のメカニズムがありますから、質を伴わない価格引き上げはむやみにできません。第三に、医療とは異なり、情報の非対称性は深刻ではないので、情報の非対称性を利用した誘発需要も起きにくいと考えられます。このように、混合介護というアイデアは、現行の介護保険制度の仕組みと市場メカニズムの折衷案であり、両者の望ましい特性を備える方法なのです。

 

鈴木亘の4冊の本を紹介させてもらいました。

財政危機と社会保障 講談社現代新書

社会保障の不都合な真実 日本経済新聞出版社

だまされないための年金・医療・介護入門 東洋経済新報社

年金は本当にもらえるのか? ちくま新書

 

福祉国家における政治理論 二クラス・ルーマン著

 徳安彰 訳 勁草書房

1章 福祉国家の目標と現実

にこのようなことが書かれている。

 

扶助は、パーソナリティの認知的、動機的構造の変化、認識や意欲の変化を計算に入れ、個々人の状況に適合しなければならなくなる。そのため、社会国家は技術の面で能力の限界に達し、道徳の面で介入の根拠づけの問題に直面することになる。

 「福祉国家の論理」について語ることができるとすれば、それは補償原理によって特徴づけられるものである。問題となるのは、特定の生活秩序によって個々人にわりあてられたハンディキャップを、どう補償するかである。しかし、ひとは補償概念をもちいた一定の経験があると、補償を普遍化する傾向がある。なぜなら、問題設定しだいで、すべての格差が補償の対象になりうるし、それでもなお他に格差が残るか、新たな欠損が生じるかして、それがまた補償を要求するからである。すべてが補償されなければならないのなら、補償もまた補償されなければならない。補償の概念と過程は再帰的になる。だがそれとともに、補償権限もまた、思考上、物質上、その限界に達し、無権限を補償する権限という問題に直面する。

  補償を普遍化する傾向がある

  補償もまた補償されなければならない無限回帰

  補償権限の限界

日本の現状もまた、

社会国家は技術の面で能力の限界に達し、道徳の面で介入の根拠づけの問題に直面する現状となっている。

つまり、社会国家か、福祉国家へ移行していくか、の選択が迫られるのです。

著者はそこに、少なくとも三つの経験領域の考察が必要だと述べている。

 

第一の領域は、急速に拡大する環境変化にある。この変化は、産業社会がひきおこしたものであり、政治的財源がなくては制御することができない。このことは、限りある資源の問題についても、再利用できない廃棄物による環境負荷の問題についても、同じようにあてはまる。

 第二の経験領域は、福祉国家の費用の増大から生じる。費用の増大は、日常的な財政問題を生み出すだけではなく、他の財源にくらべて国家予算の割合が相対的に大きくなることによって、政治システムと経済システムの分化を危うくする。

 第三に――この場合はとくに原因の帰属が難しいのだが――、近代社会は、産業、豊かさの政治的な保証、学校形式の教育、マスメディア、余暇消費の提案などによって、典型的に予想できる人間の動機状態を変化させる、とくにそのときどきの青少年世代の動機状態を変化させる、ということから出発しなければならない。それが意味するのは、福祉を受けるべき側、政治が善意から力をそそぐ側の人びとが、福祉を享受する心構え、福祉に対する感謝の気持ち、それにみあう政治的「忠誠」といった態度をつねにとることが期待できない、ということである。

  急速に拡大する環境変化には政治的財源がなくては制御することができない。

  費用の増大は、政治システムと経済システムの分化を危うくする。

  福祉に対する感謝の気持ちを常にもつことは期待できない。

二クラス・ルーマンは更にこのように述べている。

政治はつねにみずから作りだした現実を相手にしている。政治が対峙しているつもりの欲求、感謝のなさ、ほとんど解決不能の問題は、部分的には政治がみすから作りだしたものである。

官僚制というテーマを考えてみればよい。そこからは、遅かれ早かれ、自己の目標に対する破綻した関係がでてくるはずである。

 

日本の社会保障は今、すでに技術的な限界を向え、際限のない道徳的な迷宮に入ろうとしているのか。

そうではないことを述べてきた。

介護者慰労金・赤ひげ診療制度・持続可能な年金改革・混合介護

等の構造改革が必要でしょう。

二クラスの言うように社会保障への感謝の気持ちが持続しないものであるのなら、金銭的なインセンティブが必要となるだろう。法的規制の強化は官僚支配を強める弊害も大きくなる。福祉国家における政治理論については、詳しくは別の機会で述べたい。

 

この回の終わりに金銭的インセンティブの有効性について紹介したい。

「だまされないための年金・医療・介護入門 」東洋経済新報社 より

 コラム8より 喫煙について抜書きしました 誤解のないように本書を読んでください。

  効果の大きい金銭的インセンティブ

 金銭的インセンティブについては、過去多くの医療経済学の研究がその有効性を主張してきました。そのうち、喫煙は最も精力的に研究が進んでいる分野ですが、喫煙の価格弾力性(1%の価格上昇で、何%の需要が減るかという値)は、多くの研究でマイナス0.3〜マイナス0.5程度の値となっています。これは、10%の価格上昇で、3〜5%の喫煙量が減少することを意味します。

 対策として特に重要なのが若者の喫煙行動ですが、若者の喫煙の価格弾力性は、多くの研究で大人の場合に比べて非常に高いことが知られています。また、若者の喫煙率が減少すると、ビア効果(友達・級友効果)の影響から、喫煙開始の選択や喫煙開始年齢も改善することが知られていますので、全体としての喫煙量減少はさらに大きなものとなります。

○ 効果が不透明な非金銭的インセンティブ

非金銭的インセンティブは禁煙場所の規制効果や警告ラベルの印刷が義務付けられたことによるタバコ消費量が減少したことが研究報告されていますが、効果が限定的であるようです。 以下抜書き。

 一般的な教育、啓蒙、広告、医師の指導・勧告によるリスク情報の提供については、まだ、それほど明確な結論が得られているわけではありません。そもそも、飲酒や喫煙習慣を持ったり、肥満している人々が、リスク認識が低かったり、知識が不足しているのかという点について喫煙についてはすら、多くの研究でまだコンセンサスが得られているとは言えません。特に、喫煙については、喫煙者のほうがリスク認識がむしろ高いとする研究があるほどです。・・略・・

 本人の健康が悪くなる以外にない(懲りねば悟らない)とする悲観的な研究もいくつか報告されています。したがって、効果がはっきりとしない、あるいはすでに実行されてしまっている非金銭的な対策よりも、患者に対する金銭的インセンティブを付与することが、今後の生活習慣病対策としてより重要であると考えられます。

 

 「鈴木亘を読む」の5回は私の父の病状を紹介するところから始まった。そこでがんの地域連携パスの成功を望むことも書いた。この連携パスが姫路でスタートすることにあたって金銭的なインセンティブも十分に考えていくことが必要でしょう。地域医療が崩壊しないためにも、患者の満足度を上げていくことを同時に実現できる、しかも地域活性化につながる金銭的インセンティブについて、「介護者慰労金」から都合9回にわたって、簡単にではありますが、述べてきました。連携パスについて、詳しくは来月から用意している「明日の在宅医療」で記述していく予定をしています。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 医療と介護 | 16:50 | comments(0) | - | - | - |
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