PR
Search
Calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
New Entries
Recent Comment
  • 入院患者と障がい者に笑顔とコンサートを贈る市民の会 日々是幸日
    shopss (11/19)
Category
Archives
Profile
Links
mobile
qrcode
RSSATOM 無料ブログ作成サービス JUGEM
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

posted by: スポンサードリンク | - | | - | - | - | - |
お金への妄想政策
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 4−3

金融緩和の罠 萱野稔人 インタビュー・編 

藻谷浩介 河野龍太郎 小野善康  集英社新書 2013422日第2

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 79

 

 長期金利の上昇に黒田総裁が2013522日に会見している。

 話の内容は、努力はするが長期金利のコントロールが難しいことと、(長期金利の)リスクプレミアムが上昇しないように「消費税引き上げを含む財政健全化」が必要だと述べた会見だった。

 黒田総裁の金融緩和はまだ異次元な範囲では行われていない。金利の変動は現在のところ緩やかだが、マーケットとよく話し合っておかなければならないと会見でも述べられていたように、急変の可能性があることも含むものであった。

 現在の円安は原発停止によるエネルギー資源の輸入拡大とアメリカの景気回復によるもので、金融緩和によるものではない。株価の上昇は世界の金余りによるもので、これも金融緩和によるものではない。短期的な投機筋の利食いだけで推移しているものであることは株価の乱高下が証明している。株価の急落と同じように国債の金利も急騰することが現実味を帯びてきている。有効な成長戦略が無いままに巨大財政出動や金融緩和が続けば、その日は近いかもしれない。黒田総裁の会見にそのような影を感じたのは私だけではないだろう。

アベノミクスは期待先行ではなく、世界の金融資本に踊らされているだけのような気がする。日本の高齢者の貯蓄を掠め取るための手先となっているのかも知れない。高齢者の資産運用熱が本人にとっても国にとっても、命取りにならないように願うばかりです。

 

 以前に紹介した(金融・為替・株価大躍動 植草一秀著 ビジネス社)に気になることが書かれていた。

257p〜

 [デフレの犯人は日銀]という財務省のプロパガンダ

 デフレという言葉が流布されて、久しい年月が経過している。このデフレという言葉は、1998年から2000年ごろにかけて人為的に流布された言葉である。誰が流布したか。それは財務省である。

財務省がデフレという言葉を流布した理由は3つだ。第1に、デフレという言葉には、物価下落だけでなく、経済の低迷、あるいは金融不安といった意味が重ね合わされていることだ。日本経済が直面した、いわば三重苦を表現する便利な言葉がデフレだった。

 単なる物価下落という意味ではなく、極めて厳しい経済停滞と、銀行倒産が連鎖する金融恐慌の恐怖のイメージを重ね合わせてデフレという言葉が流布された。

 日本経済の三重苦を示す言葉としてデフレが流布された以上、「デフレ対策」や「デフレからの脱却」の方針には、誰も異を唱えられなくなった。「デフレ対策が必要」はいつでも正しいスローガンになった。

 第2は、デフレにこのような3つの意味が込められたが、それでも、言葉としての第一義が「物価下落」である点が着目点になったこと。デフレの第一義は物価下落。物価下落の責任機関は日本銀行。つまり、デフレの責任は政府や財務省ではなく、日本銀行にあることを世間にアピールするうえで、デフレという言葉は恰好の支援ツールになると判断されたのである。

 第3は、第2のポイントに直結するが、デフレの第一義が物価下落で、その責任が日本銀行にあることを強調できれば、デフレ対策について責任を負うのも日本銀行とのストーリーを流布することが容易になることだ。

 実際に財務省はこのストーリーを、NHKをはじめとする報道機関に広く流布させて、デフレの犯人は日本銀行、デフレ対策をやるべき機関は日本銀行、これまでの日本銀行は間違っていた、とのプロパガンダを広く世間に浸透させることに成功した。私はこのことを13年来警告してきた。

・・・・・

 

次のプロパガンダは(長期金利の)リスクプレミアムが上昇しないように「消費税引き上げを含む財政健全化」が必要だというものなのだろうか? 増税の上に国の巨大な借金をインフレ税で国民につけ回しをしようという、実質的な国債のデフォルトの絵を描いた財務省の知恵には脱帽するばかりです。しかし、策士策におぼれるという諺もあり、世界の金融資本の罠はもっと狡賢い。

 

そのことはさておき、本書では小野教授はこう述べている。

―――国債の信用が落ちるということは、結局、国債を購入するリスクを投資家が負うぶん、国債の金利が上がるということですよね。そして、国情の金利が上がれば国債の価格は下がる。

小野 そうです。国債の価値がなくなってしまいます。となると、国債を大量に保有している金融機関が信用をなくしてしまう。つまり不良債権を大量に抱えた銀行になってしまうのです。そうなれば預金の取り付け騒ぎがおこったり、銀行がつぶれたりする。そこまでいかなくても、銀行は資産を確保するために貸し出した資金を引き揚げるでしょう。

 そんな状態におちいれば、人びとはますます不安になって現金にしがみつくから消費も減るし、企業も投資をストップする。つまり、経済の状況が一気に悪化し、収縮がおきていくのです。

 怖いのは、このプロセスが瞬時におこることです。人びとが国債は危ないと思えば、損を最小限に抑えようとして、値が下がりきらないうちに売ろうとする。しかし、取引が成立するためには買い手がつかなければならず、値上がりすると思う人がいないかぎり、買い手は現れません。国債の信用が崩壊すれば、買い手はいなくなりますから、売り抜けることはできない。そうなると、売り手はさらに値を下げても売りたいと思う。このようにして、取引が成立しないまま価格だけが一気に下がってしまいます。1990年初頭の日本のバブル崩壊も、2008年のりーマン・ショックでの株価暴落も、これと同じです。いったん下がりだすと、売り抜けようとしても買い手がつかなくなるんです。

・・・・・

 

 小野教授の警告で最も注意を払わなければならない点はここです。

「経済の状況が一気に悪化し、収縮がおきていくのです。怖いのは、このプロセスが瞬時におこることです。」

 この瞬時に起こるというスピードです。「1990年初頭の日本のバブル崩壊、2008年のりーマン・ショックでの株価暴落」よりも、日々その速度を増している。長期金利の上昇も瞬時に起こる可能性がある。

 日銀が今回の金融緩和を通じて資金供給量を2年で2倍に増やすため、民間金融機関から膨大な額の国債を買い入れる、ということは規模を縮小せざるを得ないだろう。

 

 小野善康教授の「不況のメカニズム」、ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ、中公新書2007年4月25日初版、は勉強になった。ケインズはこのように読めるんだ、という素朴な驚きと、その問題点の鮮明なことに感嘆した。

 例えば、こういうところです。

 

164p

・・・消費関数を使って、公共投資が当初の投資額以上の所得増大をもたらすという乗数効果を導き出し、それを根拠に需要刺激策の重要性を強調したため、その後70年にもわたって経済政策の議論に大きな混乱を生み出した。小さな政府による効率追求か、積極財政による景気重視かという不毛な対立である。

166p〜

公共事業の意義とは根拠のない需要の波及効果てはなく、うち捨てられていた貴重な労働資源を少しでも役に立つ物の生産に向けることである。その価値は、それによってできた物の価値のみによって判断されなければならない。ケインズは乗数効果などと言わずにこの点だけを強調し、それこそが真の効率化になると主張して、新古典派の小さな政府論に対抗すべきだったのである。

 

ケインズ政策の政治経済学的側面

 結局ケインズは、物価や貨幣賃金が調整されても発生する需要不足を論証することには、必ずしも成功しなかった。さらに、消費の限界を設定するために安易に導入した消費関数がケインズ経済学の中心的な位置を占め、無意味な乗数効果が導かれ濫用されて、金額だけを問題にする財政出動の根拠となった。

 しかし、乗数効果の有無とは無関係に、需要不足があるかないかによって経済政策の効果は180度変化する。ケインズの貢献は、需要不足の可能性に注目することによって、不況における政策の考え方に重要な示唆を与えたことにある。需要が不足しなければ、新古典派の主張する節約や効率化、価格・賃金調整の迅速化などによる供給能力の拡大は、そのまま実際の生産量拡大につながって、経済を豊かにする。しかし、もし需要が不足するなら、これらの政策はかえって害悪をもたらす。供給能力を拡大しても、需要が足りなければそれを生かせず、それどころか需要不足が広がって不況が悪化するからである。そのとき、不況の解決には需要の構成要素である投資や消費を増やすしかない。

・・・・・

 

 問題は投資不足ではなく需要不足だった・・・そうすると必要な政策は何だろう。

(金融緩和の罠)ではこう述べられている。

214p

―――税収を現金で再分配するより雇用をつくるほうが確実にいいわけですね。それは、社会に必要なサービスやモノがうみだされるという点でも、失業者が減って賃金が下げ止まるという点でも、さらには彼らが能力を向上させたり、社会参加する回路が増えるという点でもいいですよね。

小野 まったくそのとおりで、どうしてそうしないのか、私には不思議で仕方ない。

 しかも、いま完全失業者は300万人前後といわれていますが、彼らを100万人雇うためには消費税を数%上げるくらいで十分なんですよ。1%の増税でだいたい60万人から70万人を雇うことが可能です。2012年に消費増税5%が決まりましたが、その増税分をすべて雇用創出につかったら、完全雇用の状態になりますよ。

・・・・・

 

 経済成長の肝は雇用創出となるようだ。小野教授は「高齢者福祉の公共事業化」ということも提案されている。「社会全体の労働力の活用という本当の効率化」を、本書を読んで皆で考えてみよう。後日に述べたいが「高齢者福祉の公共事業化」はドイツでの成功例もある。また福祉の基本は住宅政策であることを考えても、日本での取り組みは的を外し過ぎている。現金給付で済まそうという安易さを見直すことが必要だと私も思います。「政府と高齢者と銀行の間で、お金がぐるぐるまわっているだけ」という需要に結びついていない、という指摘には思わず苦笑してしまった。

 

「おわりに」で萱野稔人はこうしめている。

236p

お金の信用は国債の実質価値によってささえられている。ただしそれは、たまたま日銀 が国債を資産として大量に保有しているからというだけではない。銀行券としてのお金が 成立してきた構造からいってそうなのである。

 お金の信用とはその国の経済活動を支えるもっとも重要な「インフラ」である。

 私たちは戦後、長い時間をかけで円というお金をここまで信用あるものに育ててきた。金融緩和が危険なのは、その円の信用を担保としてさしだして日本経済を水ぶくれさせようとするからである。

 

 萱野の哲学者としての考え方にも共感できる。

224p

 雇用がうまれれば、それによってモノやサービスもうみだされますから、社会全体の経済福利も向上しますよね。雇用不安が解消されれば、人びとは安心も手にできる。

 お金にしがみついている人生というのは、底のない不安に支配された人生なのかもしれません。貨幣の供給量が足りないので増やす、といった技術的なことではなく、人びとの不安を解消し、お金への執着を小さくすることが、正しい経済政策だということですね。金融緩和は、お金への妄想の延長上にうまれた政策なのかもしれません。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 日本の政治を考える | 16:19 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
スポンサーサイト
posted by: スポンサードリンク | - | 16:19 | - | - | - | - |









この記事のトラックバックURL
http://kojimataka.jugem.jp/trackback/247
トラックバック