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マクロ政策の限界
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 4−1

金融緩和の罠 萱野稔人 インタビュー・編 

藻谷浩介 河野龍太郎 小野善康  集英社新書 2013422日第2

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 77

 

 株価は日本経済の実力以上に安すぎる感があったので、上昇するきっかけが必要だった。世界的な金融緩和の金余り減少で不安感のあるユーロ圏へのマネーが日本に逃避してきているということや、グローバル・マネーが円安で株価に値頃感を与えていることが要因で更に上がるだろう。この株価は消費税増税半年前からは一服する。お金儲けに興味のある人は今のうちに儲けておくべきでしょう。理由は以前に紹介した、植草一秀の(大躍動)を読んでください。売りの目安は植草さんのようなプロのエコノミストの有料サイトで見ることが必要だろう。素人の感では1万7千円ぐらいでしょうか?

 日本の産業の大半の数を占める、内需中心企業にエネルギーコストの上昇は致命的な減益を迫ることになる。年末には円安によるコストプッシュ・インフレで株価の大幅な下落も予想される。銭ゲバ達の売り一色と経済ナショナリスト達の仁義無き戦いが見所となる。

 円高が進んでいた状況は外国から見ると日本人の資産は増えていることであり、所得も増えていることになるのだが、円安・インフレは逆のことになっているわけです。日本は円安が進んでいる分だけ貧乏になっているだけで、景気が良くなっているわけではないので喜んではいけない。経済成長のためのエネルギー戦略こそが1丁目1番地であることに変わりはない。

 そもそも、インフレターゲットの的は国民を豊にすることではなく、国民にインフレ税を払わせて、国債を実態としてデフォルトさせることがターゲットであるような気がしてきている。それを確かめることが出来るのは夏過ぎになる。猛暑でエネルギー需要が増加し、値上げした電気料金に苦しむ国内産業に政府がどう対応するかを見極めることで、政府の成長戦略が読める。そして、矢はどのターゲットを打ち抜こうとしているのかが分かる。国民として残念なことはその頃には参院選は終わっていることだ。どうなるにしろ、与党と野党のバランスを考えた投票行動が必要だろう。

 選挙の前に金融緩和について勉強しておきたいと思い、しばらく勉強することにしました。どのような副作用があるのか?どのようにコントロールすることが出来るのか?破滅的なことにならないとは思いますが、どうなるのだろう?ということで、この書からスタートすることにしました。

 

本書は哲学者である萱野稔人が3人のエコノミスト・経済学者との対談で進められる。カバーにはこう案内されている。

 

「アベノミクスでにわかに注目をあびる金融緩和政策。しかし、「日銀が大量にマネーを供給すれば、景気が回復する」というのは机上の空論だ。「失われた20年」をもたらした本当の理由を覆い隠し、かりそめのバブルを引き起こすだけではないか。

 しかも副作用の大きさは計り知れない。国債の信用喪失に始まる金融危機、制御困難なインフレなど、さまざまなリスクを第一線のエコノミスト・経済学者らが、哲学者と徹底的に討論。

 金融緩和の落とし穴を見極め、真の日本経済再生への道筋を描き出す!」

 

 哲学者が何故に?金融緩和についての書を出そうと思ったのか?

はじめに、より――「日本社会が金融緩和にのめりこんでいくなかで、金融緩和の効果を慎重に考察することはやはり必要である。私の専門は哲学だが、哲学があらゆる領域の問題とかかわる知的実践である以上、日本のゆくえを左右する金融緩和策について、経済学の用語をこえた議論の場をつくることも哲学者の仕事であるにちがいない。本書が日本経済の未来を考えるための開かれた契機となることを願う。」

 

 何故に藻谷・河野・小野の3氏なのか?

はじめに、より――「本書がめざすのは、金融緩和の効果と限界、そして副作用を冷静に見極めることである。

 そのために本書では、金融緩和策に批判的な三人の専門家に話をうかがった。

 まず、日本全国をみずからまわり、日本経済の現状を具体的に知悉し、マクロ経済学がおちいりがちな抽象性をつねに批判している藻谷浩介氏。

 つぎに、金融緩和で潤うはずの金融業界の最前線にいながら金融緩和に異を唱えている河野龍太郎氏。

 そして、ケインズ理論の瑕疵をのりこえる独自の不況理論を打ちたて、世界的にも評価されている小野善康氏。

 三人に共通するのは、第一線で活躍するエコノミスト・経済学者である、ということだけではない。市場のなかだけで経済を論じるのではなく、日本経済が現在、歴史的にどのような局面に差し掛かっているのかという大きな問題まで含めて議論を展開している点も三人に共通する。」

 

 第1章 ミクロの現場を無視したリフレ政策

「デフレの正体」著者、藻谷浩介の論は最近の経済書ではしばしば批判の対象になっている。それについての藻谷の反論はちゃんと聞いておかなければならない。

 

32p

私は貨幣現象であるデフレについて語っているのではなく、日本で「デフレ」と呼ばれているものがじつは、「主として現役世代を市場とする商品の供給過剌による値崩れ」という、ミクロ経済学上の現象であると一貫して指摘しているわけですが、そうであればこそ2010年に出した拙著の題名についても、『「デフレ」の正体』と、デフレに「 」をつけておくべきだったと反省しています。そうしなかったばかりに、「藻谷氏はミクロ経済学上の値崩れのことをデフレと勘違いしている」という、とんでもない誤読をした先生までいます。ちゃんと読めば、そんな話をしているのではないことはわかるはずなのですが、題名だけを見て中身をよく見ていないのでしょう。流行の「速読」ですかね。

35p

 平均値「物価」で見るから間違える

藻谷 デフレという言葉が誤解を招くように、「物価」という言葉にも問題があります。

『デフレの正体』でも、小売販売額と個人所得の増減を論じましたが、物価という言葉は一回も使っていません。

 というのも物価はあくまで、値崩れした分野とそうでない分野をいっしょくたにしてしまった平均値です。これだけで「デフレだ」「インフレだ」と論じるのは、「分布を見ずに平均値だけでものを語ってはいけない」という、統計学の初歩の初歩に反する行動ですよね。個別の企業のパフォーマンスのばらつき具合を見ずに経済成長率という平均値だけを論じるのも同根です。全体像をつかむには、平均値や伸び率のまえに、全数調査で積み上げられた絶対数の動きを確認する。細かい事実の分布からの「帰納」を武器に、複雑な実態に薄皮をむくように追っていく。このふたつが不可欠なのです。

―――だから、平均値や伸び率でとらえるしかないマクロ政策には限界があるというわけですね。

藻谷 そのとおりです。マクロ経済学というのは、経済社会全体において一律に、同じ現象が地滑り的におきているという前提で、平均値だけを議論しているわけですね。

 ところが、現実の経済社会には、分布というものがあるのです。平均値を使った議論では、分布の中心から外れたあたりでなにがおこっているかは捨象されてしまう。リーマン・ショックの原因が、めったにおきることのない暴落のリスク、いわゆる「ブラック・スワン」のおきる確率を、現実よりさらに低く見積もっていたためだったというのは記憶に新しいところです。

38p

 リフレ論者は、こうしたひとつひとつの事実を無視して、平均値さえ上がればいいのだと教科書に書いてあるセオリーをざっくりともちだしてくるのですが、あまりにも思考の網が粗いといえるのではないでしょうか。

58p〜

―――藻谷さんは、人口オーナスの影響について現実の数字をあげてきちんと説明されているのに、「経済学がわかっていない」と大バッシングを受けていて気の毒ですね。ご著書もなぜか、「人□減少が貨幣現象としてのデフレをおこす」と主張していると誤読されていますね。

藻谷 そういう誤読については、本当に腹立たしいですし、「学者」を名乗る人が公然とそのようなことを本に書いたりしているのを見ると、この国の輸入学問の水準ってこんなものなのか、と暗澹とした気分になります。

 いちばんひどいのは、「人口が減少している国や、高齢化率の上昇している国でもインフレはおきているので、藻谷の言うことは間違っている」という主張です。しかし、私が議論しているのは生産年齢人口の減少であって、人口減や高齢化率の上昇ではありません。

60p〜

・・・しかしどうしても、「生産年齢人口減少があまねく物価下落をもたらす、などということはありえない」という定理を、諸外国との比較により証明したい人がいるとしましょう。これ自体、私の指摘とは無関係な話ですが、その場合には、生産年齢人口が減っている国同士を比較するのではなく、「生産年齢人口の増減以外の、ほかの基本的な経済状況が同じ国」を探して比べるのが、科学の基本中の基本です。

61p〜

・・・つまり、生産年齢人口の減少を消費縮小の誘因とみる私の議論に対して「生産年齢人口の絶対数が減少しているドイツ、ロシア、東欧、韓国、ジンバブエなどではデフレが生じていない」と批判する人は、生産年齢人口が日本同様に減っている国をもってきた時点で、全学問分野に共通の論理を踏み外してしまっているのです。一部の経済人や政治家がそうであることまでは、残念だとは思いますが責めません。ですが曲がりなりにも「学者」や「エコノミスト」を名乗る人物がこのような論を公言するというのは、日本の学問の水準を貶めているという点で、とんでもなく嘆かわしいことです、

79p〜

・・・これまでお話ししてきたように、日本でのいわゆる「デフレ」は、貨幣供給が少ないことによって全般的におきているものではなく、主として現役世代を市場とする商品の供給過剰による値崩れですから、やっぱり日銀には無関係でしょう。

 これは結局、信じる人は信じるという話で、リフレ論への賛否の議論が「神学論争」と呼ばれるゆえんです。

 ただリフレ論の信者に、ある共通の属性があることは間違いないでしょう。それは「市場経済は政府当局が自在にコントロールできる」という一種の確信をもっていることで、だからこそ彼らは日銀がデフレもインフレも防げると信じるわけです。

 これを私は「近代経済学のマルクス経済学化」と呼んでいます。昔ならマルクス経済学に流れたような、少数の変数で複雑な現実を説明でき、コントロールできると信じる思考回路の人間が、旧ソ連の凋落以降、近代経済学のなかのそういう学派に流れているということなのではないでしょうか。

・・・・・

 

藻谷浩介の反論には同意できるところがあります。世界的に特殊な日本の経済・財政状況の中で、一律な論では解き明かせない部分もあると思うので、統計学を取り入れて考えてみよう、というのは当然です。

基本的には、まだ誰も経験していない世界では、個別特殊な事象を丹念に拾い上げて分析し、それが何を意味しているのかを探り、集積したものから普遍性を見つけ出す作業が要ります。私のような文化人類学を生甲斐とするものには常識なのですが、経済学ではそうではないのかなと思っていました。理論があって事象に当てはめることは科学的でもありません。そもそも未来を語ることは未知の世界なのですから、仮説にしか過ぎないのです。大上段に切り捨てる論理こそ、疑わなければなりません。

 

その上で藻谷は日本経済にとって大切なものは、

「本当は付加価値生産性という単なる分数を大きくすることより、うんと重要なことがあるのです」それは、「付加価値額の増加です」といっている。

藻谷浩介の論に批判的な人にこそ、なお一層に読んでもらいところです。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 日本の政治を考える | 09:11 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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