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デフレファイター
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 1

アベノミクスのゆくえ 片岡剛士著 を読む

光文社新書 2013420日 初版1

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 72

 

 私達庶民にとってはアベノミクスであろうが何であろうが、生活が楽になれば良いのです。真面目な貧乏人を困らせないような政治をお願いしたい。ところが、テレビを観ていても新聞を読んでも、なぜか、どこかはぐらかされているように思える。とりあえず、最近出た新書を片っ端から読んでみますか。今後どうなるのか? どのような政策が必要なのか? という将来的なことを中心に読んでいきたい。ということで「アベノミクスのゆくえ」を始めに選んだ。

 

 本書はとても勉強になります。どれほど勉強になるかといえば、ポンと膝を打つ「なるほど!」というほど勉強になります。

 本書の概略とプロフィールを紹介しましょう。

 

 本書のサブタイトルは「現在・過去・未来の視点から考える」となっている。本のカバーにはこう書かれている。

・・・ 

アベノミクスとも言われる「大胆な」金融政策、「機動的な」財政政策、「民間投資を喚起する」成長戦略の3つの経済政策への期待感は、現在、将来の予想が重要な材料となる株式市場や為替市場の活況という形で表れている。

一方で、例えば「大胆な」金融政策は、長期金利の急騰や行き過ぎたインフレをもたらすのではないか、結局賃金上昇という形で国民に恩恵が行き渡らないのではないかといった不安の声も聞こえる。

このような期待と不安が入り混じる現状において、アベノミクスをどう評価すればいいのか?

気鋭のエコノミストが、アベノミクスを支える“3本の矢”の現状評価と今後のゆくえを、精緻な分析によって論じる。

・・・

片岡剛士(かたおかごうし)

1972年愛知県生まれ。慶応義塾大学大学院商学研究科修士課程(計量経済学専攻)修了。三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員。専門は応用計量経済学、マクロ経済学。著書に『日本の「失われた20年」――デフレを超える経済政策に向けて』(藤原書店、2010年、第四回河上肇賞本賞受賞、第二回政策分析ネットワークシンクタンク賞受賞)、『円のゆくえを問いなおす−実証的・歴史的にみた日本経済』(ちくま新書、2012年)がある。

・・・

はじめに、で本書の構成が概略されている。それに少し本章から付け加えてみます。

 

第1章では、日本経済の現状を特徴づける7つのポイントを明示しつつ、これらの検討を通じて日本経済の動向を概観しています。

 

日本の経済の現状をまとめる7つのポイント

1)マイルドかつ持続的なデフレ

2)円高トレンドの持続

3)失業率の高止まり、名目賃金の停滞

4)深刻化する不況と回復の弱々しい好況

5)財政赤字・債務負担の深刻化と、将来の増税可能性の高まり

6)少子高齢化の本格化

7)東日本大震災の影響

 

第2章では、本書の軸となる日本経済を考える際のフレームワーク、つまり3つの政策手段(経済安定化政策、成長政策、所得再分配政策)、3つのステージ(政策決定過程)、3つの時点(過去、現在、未来)の組み合わせからなる分析枠組み(3×3のフレームワーク)を提示して、それぞれについて解説を加えています。

 

3×3のフレームワーク

・3つの政策手段 

 経済安定化政策 成長政策 所得再分配政策 

・3つのステージ

 情勢の把握 政策の選択・実行(財政・金融・成長) 効果の発現

・3つの時点

 過去(フロー市場)・現在・未来(ストック市場)

という3つの時点で起こる経済活動と貨幣的な現象

 

第3章では、「過去から考える日本経済」と題して、第2章で提示した分析枠組みを援用し「失われた20年」とも呼ばれる長期の経済停滞の経緯・原因を分析しながら、それがどのような形で日本経済の長期停滞につながったのかを整理しています。

 

「デフレレジーム」と3×3のフレームワークに長期停滞の解釈(第3章のまとめ)

「デフレを伴う長期停滞の進行に最も影響したのは、不十分な金融政策。」

173p〜

・・・デフレと円高は、フロー市場とストック市場に作用しつつ、総需要を停滞させることで長期停滞をもたらしました。デフレと円高という貨幣的現象に大きく影響したのは政策のミスですが、デフレが続くのは仕方のないことであり、デフレに対して金融政策は大した効果をもたらさないという「デフレレジーム」が、失敗が失敗の連鎖をもたらす中で、政策担当者のみならずメディアをも巻き込む形で強固なものとなっていきます。

176p

・・・リーマン・ショック時の日銀の政策対応は、その後の超円高につながりますが、円の独歩高が続く中で「ドル安・ユーロ安が超円高の原因である」という本末転倒な議論も、日銀の“無謬性”を強化することにつながります。“無謬性”の強化は、日銀自らが物価安定目標を定義し、目標達成の判断も自らが行うという形で進みました。これは、改正された日銀法(後述)も一因として挙げられます。さらに、「デフレは構造的要因である」「デフレは人口減少が原因だ」といった議論は、物価安定に責任を持つ日銀にとって、自らの政策手段で容易に解決できないのが現在のデフレだという立場をより強固なものにすることができます。

 

失敗が失敗の連鎖「3つのステージ、3つの政策手段、3つの時点のそれぞれが機能不全を起こすことで、失敗が失敗を生む悪循環が生じたということです。」

 

「悪循環を逆転させる」

 

第4章では、「未来から考える日本経済」と題して、安倍政権の経済政策(アベノミクス)の特徴の整理や、第3章で得られた知見を活かして、アベノミクスが日本の長期停滞を脱するための起爆剤になりうるか、そうであれば何か重要となるのかという点について批判的に検討を加えています。

 

・3つのステージを統括する「統一的な戦略策定部門」を設置する。

 なぜなら、3つのステージの運行の悪循環が長期停滞に悪影響を与えた要因の一つは、複数の政策決定主体が分権的に情勢認識をして、それぞれの思惑に洽って政策を行ってしまったことにある。

・アベノミクスは1本の矢(リフレ政策)

 アベノミクスにおける「大胆な」金融政策は、「機動的な」財政政策や「民間投資を喚起する」成長戦略を適切に作動させるための必要条件である。

 「大胆な」金融政策が崩れれば、アベノミクス自体が瓦解する可能性が高まる。

 「金融政策の変更と政策レジーム(デフレレジーム)の変更」

・フロー市場とストック市場の齟齬が生み出す経済変動を安定化させることが必要

・第二次安倍政権の経済政策における最大のリスク要因は、所得再分配政策の軽視

 

・インフレ目標政策

1)  数値目標の設定(例えば2%という明確な数値の設定)

2)  達成期間の明確化

3)  数値目標の設定と達成期間の決定の区別

4)  説明責任

5)  動学的整合性(あらかじめ約束した条件を満たすように、実際の政策が行われること)の5つの特徴を満たす政策です。

 

・リフレ政策による株価上昇

予想インフレ率が上昇することで、企業の名目の将来収益の流列が向上することによる株価の上昇は、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した株価の上昇であって、バブルではありません(岩田規久男(2001))。

 

・政府と日銀が締結すべき政策協定

1)「金融政策」について政府と日銀が締結する政策協定とすること

2)国民からの信任を得た政府の責任において物価上昇率の目標値を2%と定めること

3)日銀は政策手段に関する独立性のもとで目標を達成するために金融政策を行うこと

4)目標値の達成期限は2年間とすること

5)日銀は展望レポートの公表、国会における説明責任の義務を負うこと

6)あわせて経済財政諮問会議で質問を受けた場合には、物価動向と金融政策について説明を行う義務を負うこと

7)首相と日銀総裁の連名で公表すること

 

・アベノミクスにおける金融政策の3つの前進。

 1つ目の前進は、これまで日銀が採用しなかった2%のインフレ目標がセットされたことです。これは、先進諸国と同じ目標物価上昇率を採用したことを意味します。

 2つ目の前進は、「大胆な」金融政策実現のために、リフレ政策の長年の主導者だった岩田規久男教授が副総裁に、かつ財務省出身者で国際経験豊富な「リフレ派」である黒田東彦が総裁に就任したこと。

 3つ目の前進は、アベノミクスを支える重要な会議である経済財政諮問会議で、日銀の「デフレフアイターぶり」が定期的にチェックされることです。

 

・今後「大胆な」金融政策実現のためには何が必要となるか。

1)基準となる物価指標の明示や展望レポートの変更・修正

2)オープンエンドの金融緩和策

3)日銀法改正

・政府は、日銀の行動をサポートするために日銀法を改正し、政府と日銀の役割が混在している共同声明の内容を書き換えて、金融政策について政府と日銀の役割を明確化した政策協定(アコード)を結ぶことが求められます。

 

・現在の日銀法の4つの問題点

1)  日銀が何を行う機関かという「目的」が不明瞭

2)  「国民経済の健全な発展」や「物価の安定」といった言葉に、明確な定義がない

3)  日本銀行の自主性の尊重及び透明性の確保について述べた第三条と、政府との関係について述べた第四条の「十分な意思疎通」とは何かが不明

4)  第25条で規定されている役員の身分保障について

 

・景気の下支えとして見た場合の公共投資には、大きな効果は期待できない

・「マイナンバー制度とセットで給付付き税額控除の枠組みを作る」「定額給付金」「社会保険料の減免」といった減税策の実施が必要

 

・消費税増税は駆け込み需要と反動減という形で、消費の変動を増幅させます。また、可処分所得を低下させることを通じて消費を低下させます。さらに、家計の所得制約に影響を与え、それは住宅投資の下落につながります。

・97年時点と比較してより明瞭な形で悪影響が表れると考えられる。

・財政政策における最大のリスク要因は消費税増税

 

・増税よりも優先すべきは、デフレの現状から総需要の増加を伴う形での2%の安定的なインフレ率に復帰すること。

・インフレ目標政策でなく、名目GDP水準目標政策に踏み込むこと

・必要なのは「成長戦略」ではなく「成長政策」

TPPがデフレを促進させることはない

・電源構成の急速な転換を行えば、経済的なコストが高まる

・ユーロ危機にも注意が必要

 

 以上が本書の概略です。3×3のフレームワークを学んだことは、私にとって大きな収穫だった。皆さんも本書を読んで是非に学んでみてください。本書を読んでいて日銀法が改正される必要を感じましたが、このようなニュースが気になりました。

 

[東京 25日 ロイター] 菅義偉官房長官は25日午後の会見で、今あらためて日銀法を改正する必要はないとの考えを示した。日本維新の会とみんなの党が日銀法改正案を国会に提出したことに関連して、官房長官は「(日銀は安倍晋三首相の)期待に応えるように大胆な金融緩和を政策決定会合で決定している。今、あらためて日銀法改正をする必要はないのではないかと現時点では思う」と述べた。

 

「おわりに――アベノミクスのゆくえ」で「大胆な」金融政策が実行され、実際に2%インフレが達成された場合の不安はあるか、という項目があります。

 ここもしっかりと読んでおきたい。「アベノミクスのゆくえ」という、歴史的な社会実験の中にいる私達が、目撃者となるのです。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 日本の政治を考える | 08:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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