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「終末期がん難民」を生まないための提言 その12011.05.30 Monday
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JUGEMテーマ:病気
グループホーム「花みずき」を訪ねてきました。
2011年5月26日13時
その折に、だいとう循環器クリニック院長
大頭 信義(だいとう のぶよし)先生
からいただいた資料を公開しておきます。
経歴 昭和61年4月 だいとう循環器クリニック開設
(特定)日本ホスピス・在宅ケア研究会 理事長
播磨ホスピス・在宅ケア研究会 事務局・・・・・
「終末期がん難民」を生まないための提言
日本ホスピス在宅ケア研究会
「もううちでは治療の道がないので、どこかよその病院に行ってください」と主治医から宣告されたがん患者と家族の苦悩は深い。地域連携室機能が充実している医療機関であれば心理的な「見捨てられ感」はさておいて次の病院や診療所に引き継いでもらえるが、それすらない病院もまだ少なくない。私たち日本ホスピス在宅ケア研究会は長年在宅や施設でホスピスケアを行ってきた医療専門職およびこの問題に関心の高い介護専門職や市民によって構成されており、このような再発後や終末期に適切な受け入れ先のないいわゆる「終末期がん難民」の方々が安心して十分な終末期ケアを受けることができるようなシステム整備が急務であると考え、ここに提案する。
なお、詳細な資料は後のページに掲載し、ここでは要点をまとめることとする。
「終末期がん難民」を生み出す構造について
破綻しつつある政府財政の立て直しの一環として社会保障費は強力に抑制され、医療システム全体の脆弱化が急速に進みつつある。とりわけ診療単価の高い入院医療に対してはDPC制度の導入と相まって、長期入院が経営上成立しない程度の日数逓減制度を設け一般病院におけるがん患者の長期入院を困難なものにしている。
「終末期がん難民」を生まないための提言
1、病院と在宅システムの連携の整備
1) 在宅患者の緊急入院の受け入れ先確保
2) 在宅支援診療所システムの見直し
2、医師〜訪問看護師の連携とパートナーシップ〜役割の分担と共有の見直し〜
1) ファーストコールシステムの確立 〜時間外訪問看護費の割増加算の改善〜
2) 死亡診断と死亡診断書作成業務の分担
3、最後の1〜2週間の在宅支援システム構築
1) 「24時間泊まり込み看護・介護制度」の創設を
4、施設ホスピス・緩和ケア病棟の整備拡充
1) 更なる緩和ケア病棟の拡充が望まれる
2) 有床診療所ベースのホスピス緩和ケア病棟の創出支援を
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< 大会アピール >
2007年7月1日
日本ホスピス在宅ケア研究会 飛騨高山大会
都道府県レベルのがん対策推進計画作成の委員会にがん患者・家族代表及び医療・福祉現場の関係者を参画させることを強く要求します。
がん対策基本法が、この4月より施行されました。この基本法に基づき設置されたがん対策推進協議会には患者代表も入り、がん対策推進基本計画が策定され、6月15日閣議決定されました。医療政策の策定過程に患者代表が加わるのは画期的なことでありますが、基本法では特にその重要性が強調されています。
この基本計画をもとにして、今後、各都道府県において具体的な実効性のあるがん対策推進計画が策定されることとなっていますので、その内容如何に日本のがん医療の未来がかかっているといっても過言ではありません。
がん患者がどの地域に住んでいても、同じように質の高い医療を受けられ、また治療の初めから緩和ケアが導入され、さらに、病院と在宅ケアチームの切れ目の無い医療福祉サービスが提供され、がんに罹っても安心して過ごせるような地域社会のシステムが構築される事を多くの国民が望んでいます。
日本のがん医療が、実質的に変ってゆくためには、患者・家族および現場の医療・福祉関係者さらには市民が参画した計画の策定が必要不可欠と考えます。
したがって、各都道府県においては、がん対策基本計画を策定する委員会に、がん対策基本法にのっとり、がん患者会代表、さらに在宅緩和ケアの実践者を参加させるよう、強く要望いたします。
2. 40歳以上の末期のがん患者の介護認定は、要介護1以上にするよう、強く望みます。
在宅療養推進の流れの中、介護保険において、40歳以上のがんの末期も、介護保険が適用できるようになりました。このことは、以前より私ども研究会が強く望んでいたことです。
しかし、がんのターミナル期は、急激な病状の進行があり、数週間のうちに要介護4〜5相当の状態になるにもかかわらず、認定時はADLが保たれるため、軽い要支援の判定がでることが多くあります。要支援は、予防を主とした介護であり、地域包括支援センターが携わることが多くなります。がんの末期には病勢の進行とともに、ベッドの利用、ヘルパーの派遣、入浴サービスの導入など居宅介護支援事業所のケアマネージャーによる迅速な対応が望まれますが、介護認定時に不必要な時間がとられていることが実情です。
このような事情より、40歳以上のがん末期の療養については、「要介護1」以上の認定にすることを強く望んでいます。
日本ホスピス在宅ケア研究会は、1992年以来、ホスピス・在宅ケアの現場をよりよくしていくために、実践・研究・研修・研讃を積み重ねてきました。
今回、飛騨高山大会において、上記の点についてその重要性を改めて認識し、大会参加者の総意としてアピールいたします。
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スポンサーサイト2016.04.17 Sunday
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