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原発と復興を考える 11 ポジティブ・ウェルフェア社会
JUGEMテーマ:大地震
 

11 原子力問題と復興への提言

 被災による貧困と子どもの問題「ポジティブ・ウェルフェア社会」

 

 「小さな政府」には「大きな社会」が前提となっています。「小さな政府」に「小さな社会」ではありません。実は「大きな政府」か「小さな政府」ではなく、「大きな社会」を実現できるか、「小さな社会」でよいのかを議論しなければならないのです。政府は「大きな社会」を実現するために何ができるかが、問題なのです。「社会投資国家」は弱者を「社会的包摂」できる仕組みがなければ成り立ちません。また、「価値の多元化」を実現できる公共性も必要です。「大きな社会」について、これから考えていきたいと思っています。断続的にではありますが、1年ぐらいは考察を続けることになりそうです。

今言えることは、「大きな社会」が実現できれば「大きな政府」は、無用なものとなります。「小さな政府」を無理やりに、何の準備もなく実現しようとすれば、弊害も大きくなります。例えば、「自立が無軌道な市場に晒されるから、自立に格差が生じる」というようなことも含みます。

機能的に考えていきたいと思っています。効率的ではなく、共感という満足度も含むが故の、機能的な演繹でなければならないと考えています。

「社会投資国家」と、原発と復興を考える9で紹介した、反「自立支援イデオロギー」とは対立するものではないと、考えています。

 

「自立支援イデオロギー」とは以下のような論理を原理的に信奉するものです。

「原理的に信奉」するということと、良いところを発展させるように取り入れよう、良い考えだが、修正すべきところは修正していこう、ということとは違う。

 

[日本の新たな「第三の道」]アンソニー・ギデンズ著

渡辺聰子訳 ダイヤモンド社 2009年 1127日発行

13p

成果主義を導入した積極的雇用政策

 新しい社会モデルにおける福祉は、「ポジティブ・ウェルフェア」でなければならない。「ポジティブ・ウェルフェア」という概念は、社会のネガティブな要因をポジティブな要因に置き換えるという発想から出発したものである。第二次世界大戦後、イギリスの福祉国家を設計するのに力を尽くしたウィリアム・ベヴァリッジは、社会の五つの悪、すなわち、無知、不潔、貧困、怠惰、病気を撃退することを宣言した。ポジティブ・ウェルフェアという考え方は、これら社会のネガティブな要因の一つ一つを、ポジティブな対応物、つまり、教育と学習、繁栄、人生選択、社会や経済への積極的な参加、および健康なライフスタイルに置き換えていこうというものである。

 つまり「福祉」は、失業者や高齢者といった社会的弱者に生活費を直接給付するというものではなく、市民のライフスタイル変革を促す建設的、積極的な支援が中心となる。セーフティネットは、個人や組織の自立を助けるもの、エンパワーするもの、ポジティブなものでなければならない。特に人的資源への投資は重要である。我々は、従来の「福祉国家」の代わりに、ポジティブ・ウェルフェア社会という文脈のなかで機能する社会投資国家を構想しなければならない。

 

 ここで述べられている「ポジティブ・ウェルフェア社会」は理想的な社会だと思える。しかし、今現在、今日明日の生活に窮している人達を見捨てて「ポジティブ・ウェルフェア社会」は築けない。社会的弱者に生活費を直接給付することをしなくてよい社会が将来的な理想であっても、否定することが前提であってはいけない。将来に理想的な社会として「ポジティブ・ウェルフェア社会」があるのであって、それを実現するためには、今日明日の生活に窮している人達がポジティブに思考できるための生活支援は必要となる。ギデンズは日本の貧困が、彼が思っているより深刻なものであることを知らないのだろう。

 「ポジティブ・ウェルフェア社会」の実現のためには、幾つかの段階を踏んでいく必要がある。先ず、「ポジティブ・ウェルフェア社会」の実現を阻んでいる、原理主義者との対決です。例えば、生活保護受給者を窓口で追い返す「水際作戦」という違法な行為を認めている限りは、ポジティブな社会は訪れない。生活保護受給者には生活保護が必要な原因がある。その原因を無視して、保護受給者を排除する考えは、社会をよりネガティブにしてしまう。再出発の跳躍板を用意する、生活をサポートできる体制を作ることによって、「ポジティブ・ウェルフェア社会」が現実のものとなるのではないか、と私は考えています。「社会的弱者に生活費を直接給付すること」は、現在の日本の状況では「ポジティブ・ウェルフェア社会」の実現のための投資だと考える必要があるように思えます。

 

 本書は次のように続いている。

 イギリスで2007年から施行されている「積極的雇用政策」は、こうした視点に立った新しい政策である。イギリスでは、他のヨーロッパ諸国と同様に高い失業率が問題になっており、政府は新たな職業訓練と再就職を支援するプログラムを開始した。このプログラムの開始にあたって、政府は、限られた予算で効果を上げることを国民に約束して説得した。つまり、2.5億ポンド(約400億円)を支出することになるが、プログラムの実施で失業手当が不要になり、新たに職を得た人々から所得税が得られるので、差し引き5.1億ポンド(約800億円)のプラスになるという試算を示したのである。

 このプログラムにおいては、民間の就職支援団体が、失業者からの求職の要望を受けて、アドバイスを与え、職業訓練を行う。就職支援団体のスタッフはそれぞれのケースを個別に担当し、失業者を雇用可能(employable)な人材にするため、一人一人の状況に合った方針を立てる。

 就職支援団体は、成功すれば政府から報酬を受け取る。報酬支払いの仕組みには、成果主義が導入されている。つまり出来高払い制度に基づいて支払われ、成功するケースが多ければ多いほど多くの報酬を得る。さらに、報酬は段階的に支払われる。第一回目は求人を開始した時点、第二回目は求職者が訓練に参加した時点、第三回目は訓練を終了した時点、第四回目は面接を受けた時点、第五回目は就職した時点、最後は半年間働いた時点、という具合である。

 さらに政府は「地域雇用パートナーシップ」と呼ばれる地域の企業との協力体制を整備した。この「積極的雇用政策」により、二年間で10万人が新たな職を得た。同政策の策定者は、より少ない予算でより大きな効果を上げるためには「人」に投資しなければならない、つまり「人」を基点とした政策でなければならないと考え、この政策を考案するに至ったという。

イギリスの「積極的雇用政策」は他国でも適用され得る。つまり、公的支援の制度においても、イセンティブの仕組みを工夫し、成果主義を取り入れて、関係機関のやる気をうまく引き出すことは重要である。日本でも政府から資金援助された職業訓練施設による失業者の再就職支援が実施されているが、こうした制度においても、成果主義を導入したインセンティブの仕組みを適用することが可能であろう。

 

 このプログラムは成果主義であるからこそ、プログラムから零れ落ちる人達が出てくる。このときに、零れ落ちた人たちの能力が落ちるのではなく、零れ落ちる人が出てくることが、プログラムに問題があるのだと、プログラムを見直すことが求められる。あくまでも、プログラムを受ける全員がプログラムによる恩恵を受ける必要がある。粘り強い、持続性のあるプログラムが、実現できるかが問われることになる。

 成果主義が悪いといっているのではなく、成果主義プラスαが必要だと思うのです。被災地にも、有効に機能する「ポジティブ・ウェルフェア」を考えたい。

 

 ギデンズはこのようにも述べている。

15p

モラル・ハザードの監視

 福祉制度改革が容易でないのは、それが既得権益を生むからである。これは完備された福祉制度を持つ欧米諸国の過去の経験から明らかである。何らかの社会保険給付がいったん制度化されると、当初の目的に合致していようがいまいが、給付制度が一人歩きを始める。つまり期待は固定化され、利益集団は自己の権益を保守しようとする。そうなると制度改革は、大規模な抵抗に遭うことになる。福祉給付は、往々にして受身の姿勢や依頼心を助長し、受給者の自立を妨げる。つまり給付が本来の目的に反する効果をもたらすのである。

16p

 給付水準が高ければ高いほど、モラル・ハサードや不正給付の生ずる確率は高くなるといわれる社会保険への申請者が増加したり、健康上の理由で仕事を休む人が増えたり、仕事を熱心に探さなくなったりするのは、モラル・ハサードの現れと見てよい。給付依存の習慣が長期化すると、そのうち給付を受けるのが「当たり前」になり、「正常」とみなされるようになる。

 

ギデンズは日本の福祉給付を受ける人の就業への意欲が高いことを知らないのだと思う。

日本は母子家庭の就業率も高く、多くの場合はむしろ「自助努力の過剰」となっている。日本の貧困による「ネガティブ」は、ワーキングプアや貧困ビジネスが問題であり、行政の「受給者の自立を妨げる」モラル・ハサードが問題である場合が多い。

 不正給付を受けるものは極少数であり、そのことを拡大解釈してはならない。貧困ビジネスを絶ち、暴力団等を徹底的に排除し、ギデンズの言うように「福祉行政」の制度的な行き詰まりも解決しなければならない。ポジティブな復興のためにも必要です。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 大災害 | 08:58 | comments(0) | - | - | - |
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