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原発と復興を考える 10 「大きな社会」の樹立
JUGEMテーマ:大地震
 

10 原子力問題と復興への提言

 被災による貧困と子どもの問題 「大きな社会」の樹立

 

 前回、『「自立支援」とか「自助努力」に象徴されると思いますが、つまりは生が値踏みされている。』=自立も市場化されていることを、もう少し考えを進めてみたい。つまり、自立が市場化されているから、自立に格差が生じている。それならば、自立に大きな格差が生じないような、適切な市場介入は可能か?という問いかけです。そして、政治に何ができるのかを問いかけることでもあり、そもそも「自立」という概念が混乱を来たしているから生じている問題なのかも知れないという問いを、考え続けています。

貧困の問題とは、「自立」という人間の核になる問題ではないのか、との問いかけです。

 

 宮台真司の「日本の難点」

 幻冬舎新書 2009年4月15日発行

 130pから続く「自殺率は下げられないのか」という項目

に、皆で考えてみたい記述がある。

 

「社会の自立」、「大きな社会」樹立、という支援について。

131p

 九八年といえば、山一證券や北海道拓殖銀行などの破綻で日本経済が急激に悪化した翌年です。直接的には、経営に行き詰まった経営者が、家族や従業員の生活を守るために、個人保証の担保としていた生命保険を借金返済に充てようと命を絶つケースが急増した、ということがあるでしょう。

 ところが、そうした「経済苦による自殺の急増」というデータをもとに、日本経済の状況や、個人保証の制度に問題を帰属させるのは、文脈を参照しない短絡的思考です。多くの自殺者が鬱病ないし鬱状態だったと推定されるところから鬱に原因を帰属させるのも、同じ意味で短絡的思考です。

 データは読み方が大切です。「どうして経済的に、つまずいた程度で自殺しなければならないくらいに、社会が薄っぺらいのだろう」「どうして、鬱に陥ってしまう人が増えたり、今までも鬱だった人が同じ頃から大勢、自殺の引金を引くようになったのだろう」。そう考えなければ、意味がないのです。

 

 「社会が薄っぺらい」薄っぺらいから、「社会の底が抜ける」のだろう。

132p

 従来は、鬱の要因と経済的な要因との間の関係について、鬱に陥ったから経済的な要因程度で自殺の引金が引かれてしまうのだ、という側面と、そもそも経済的な要因が鬱に陥るきっかけを与えてしまったのだ、という側面との、相互強化的な循環が、データの読みとして注目される程度でした。

 ところが『自殺実態白書』はパス解析という重回帰分析の組み合わせを使い、複数の要因の間の因果的な蓋然性を明らかにしました。

〔1 病気や怪我→2 会社を辞めるか休業→3 収入が絶たれる→4 家族的・地域的・会社的人間関係から見放される→5 相談相手のいない状況で生活に行き詰まる〕

 これを読んで驚いたのは、安倍音三政権崩壊のー因になったと言われるNHKスペシャル『ひとり団地の一室で』(二〇〇五年九月二四日オンエア・松木秀文ディレクター「地方の時代」映像祭グランプリ受賞)が描き出した「孤独死」の背景にある要因連鎖と、瓜二つであることでした。

 

 この白書の調査で得たものは大きい。複数の要因が自殺に関係しているならば、複数の箇所で自殺予防が考えられる。自殺予防は社会的な取り組みが有効であることが分かる。   

白書はインターネットでも見ることができる。自殺対策白書ではないので、要注意。

133p〜

共通要因として推定されるものは、何でしょうか。それが分かれば、昨今の日本社会のどこがダメなのかもはっきり分かるはずです。推定される結論を言えば、地域社会の包摂性と家族関係の包摂性が、こうした場所では顕著に低下しているのです。分かりやすく言えば「金の切れ目が縁の切れ目」であるような人間関係ばかりが拡がっているのです。

 こうした状況を最初に概念化したのは、新自由主義を標榜するサツチャー政権とメイジャー政権下で大臣を歴任した保守党政治家ダグラス・ハード男爵の「能動的市民社会性」という概念です。具体的には家族や地域や宗教的結社に見られる相互扶助(が支える社会的包摂)を指しています。

「能動的市民社会性」や「市民的相互扶助」の概念は、労働党系政治学者デビッド・グリーンから保守党系政治学者バーナード・クリックを経て労働党系社会学者アンソニー・ギデンズに継承されます。新自由主義はもともと“「小さな政府」で行くぶん「大きな社会」で包摂せよ”という枠組だったのです。

 家族や地域や宗教的結社の相互扶助―あるいはそこに見られるビクトリア朝的伝統―を

ベースに“「大きな社会」で包摂せよ”というメッセージですから、市場原理主義とは似ても似つかないものです。ネオリベとして揶揄される枠組は、[小さな政府」を市場原理主義として誤解したものに過ぎません。

 その意味で、元々の新自由主義と、いわゆるネオリベとは区別しなければいけません。ネオリベ市場原理主義は、「小さな政府」&「小さな社会」の枠組です。新自由主義の「小さな政府」&「大きな社会」の枠組とは全く違います。でも、そうした初歩的な混同は日本に限ったことではありません。

 

 ここです、「小さな政府」&「大きな社会」の枠組、「小さな政府」&「小さな社会」ではない。「大きな社会」について、皆で考えてみませんか。

135p〜

 ・・・新自由主義者たちが福祉国家批判において提唱したように、社会から「大きな国

家」に移転されてしまった便益供与のメカニズムを、社会に差し戻す必要があります。それが「大きな社会」の含意です。僕の考えでは、「小さな国家」&「大きな社会」への流れは、どのみち不可避なのです。

 「大きな社会」、すなわち、経済的につまずいたりちょっと法を犯した程度では路頭に迷わずに済む「社会的包摂」を伴った社会を、グローバル化の流れの中で、どうやって作り、維持するのか。むろん道徳的伝統主義のような、かえって「社会的排除」を導く枠組を、頼るわけにはいきません。

 だから、家族の包摂性、地域の包摂性、宗教の包摂性といっても、かなり強い「社会的排除」を伴う旧来の家族や地域や宗教の、復活や維持を構想するわけにはいきません。単なるノスタルジー(復古主義)では役立たないということです。そこで、機能主義的な発想が要求されることになります。

 

・「社会的包摂」を伴った社会を、グローバル化の流れの中で、どうやって作るのか。

・「社会的排除」を導く枠組を、頼るわけにはいかない。

・機能主義的な発想が要求される。

136p

そこで、社会システム理論の機能主義の出番です。昔の関係性を取り戻せず、取り戻しても役立たないのであれば、同様の「社会的包摂」機能を果たしつつ、かつての「社会的排除」機能の副作用が少ない、新たな相互扶助の関係性(新しい市民社会性)を、構築し、維持するしかありません。

 その意味で、僕が起草に関わった第二七期東京都青少年問題協議会最終答申でも記されているように、薄っぺらくなった社会で行政がなすべき「自立支援」とは、困り切った個人を緊急避難的に助ける場合を除けば、中長期的には「個人の自立」ではなく「社会の自立」(「大きな社会」樹立)の支援でなければなりません。

 

・新たな相互扶助の関係性(新しい市民社会性)

・「社会の自立」(「大きな社会」樹立)の支援

 

宮台は以下のようにも言っている。

35p

秋葉原連続殺傷事件が起こったとき、若手論壇人らが「個人を直撃するグローバル化や格差社会がいけない」という論陣を張りました。これは間違いです。グローバル化も、それに伴う経済格差化も不可避です。むしろ、それらによって個人が直撃されないような社会の包摂性が必要なのです。

 別の言い方をすれば、国家(行政)は「個人の自立」を支援するのでなく、「社会の自立」を支援するべきなのです。言い換えると、国は、社会がそれなりに自立して回るように肋ける投割に徹するべきです。社会学者のアンソニー・ギデンズはそれを「社会投資国家」と呼びますが、欧州の政策的な共通了解になっています。     

 それなりにして自立して回る社会が、個人主義的な個人を要求するか、共同体主義的な個人を要求するかは、それこそ文化の問題です。だから一概に個人の自立がいいとは言えません。

 

 個人の自立は「価値多元主義」で、互いの自立が尊重されるところにある。したがって、各人の価値観を尊重する「公共の秩序」の維持がされる国家でなければならない。それが「社会投資国家」と呼ばれるものです。そこから先はギデンズを読まなければならない。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 大災害 | 15:20 | comments(0) | - | - | - |
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