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お金への妄想政策
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 4−3

金融緩和の罠 萱野稔人 インタビュー・編 

藻谷浩介 河野龍太郎 小野善康  集英社新書 2013422日第2

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 79

 

 長期金利の上昇に黒田総裁が2013522日に会見している。

 話の内容は、努力はするが長期金利のコントロールが難しいことと、(長期金利の)リスクプレミアムが上昇しないように「消費税引き上げを含む財政健全化」が必要だと述べた会見だった。

 黒田総裁の金融緩和はまだ異次元な範囲では行われていない。金利の変動は現在のところ緩やかだが、マーケットとよく話し合っておかなければならないと会見でも述べられていたように、急変の可能性があることも含むものであった。

 現在の円安は原発停止によるエネルギー資源の輸入拡大とアメリカの景気回復によるもので、金融緩和によるものではない。株価の上昇は世界の金余りによるもので、これも金融緩和によるものではない。短期的な投機筋の利食いだけで推移しているものであることは株価の乱高下が証明している。株価の急落と同じように国債の金利も急騰することが現実味を帯びてきている。有効な成長戦略が無いままに巨大財政出動や金融緩和が続けば、その日は近いかもしれない。黒田総裁の会見にそのような影を感じたのは私だけではないだろう。

アベノミクスは期待先行ではなく、世界の金融資本に踊らされているだけのような気がする。日本の高齢者の貯蓄を掠め取るための手先となっているのかも知れない。高齢者の資産運用熱が本人にとっても国にとっても、命取りにならないように願うばかりです。

 

 以前に紹介した(金融・為替・株価大躍動 植草一秀著 ビジネス社)に気になることが書かれていた。

257p〜

 [デフレの犯人は日銀]という財務省のプロパガンダ

 デフレという言葉が流布されて、久しい年月が経過している。このデフレという言葉は、1998年から2000年ごろにかけて人為的に流布された言葉である。誰が流布したか。それは財務省である。

財務省がデフレという言葉を流布した理由は3つだ。第1に、デフレという言葉には、物価下落だけでなく、経済の低迷、あるいは金融不安といった意味が重ね合わされていることだ。日本経済が直面した、いわば三重苦を表現する便利な言葉がデフレだった。

 単なる物価下落という意味ではなく、極めて厳しい経済停滞と、銀行倒産が連鎖する金融恐慌の恐怖のイメージを重ね合わせてデフレという言葉が流布された。

 日本経済の三重苦を示す言葉としてデフレが流布された以上、「デフレ対策」や「デフレからの脱却」の方針には、誰も異を唱えられなくなった。「デフレ対策が必要」はいつでも正しいスローガンになった。

 第2は、デフレにこのような3つの意味が込められたが、それでも、言葉としての第一義が「物価下落」である点が着目点になったこと。デフレの第一義は物価下落。物価下落の責任機関は日本銀行。つまり、デフレの責任は政府や財務省ではなく、日本銀行にあることを世間にアピールするうえで、デフレという言葉は恰好の支援ツールになると判断されたのである。

 第3は、第2のポイントに直結するが、デフレの第一義が物価下落で、その責任が日本銀行にあることを強調できれば、デフレ対策について責任を負うのも日本銀行とのストーリーを流布することが容易になることだ。

 実際に財務省はこのストーリーを、NHKをはじめとする報道機関に広く流布させて、デフレの犯人は日本銀行、デフレ対策をやるべき機関は日本銀行、これまでの日本銀行は間違っていた、とのプロパガンダを広く世間に浸透させることに成功した。私はこのことを13年来警告してきた。

・・・・・

 

次のプロパガンダは(長期金利の)リスクプレミアムが上昇しないように「消費税引き上げを含む財政健全化」が必要だというものなのだろうか? 増税の上に国の巨大な借金をインフレ税で国民につけ回しをしようという、実質的な国債のデフォルトの絵を描いた財務省の知恵には脱帽するばかりです。しかし、策士策におぼれるという諺もあり、世界の金融資本の罠はもっと狡賢い。

 

そのことはさておき、本書では小野教授はこう述べている。

―――国債の信用が落ちるということは、結局、国債を購入するリスクを投資家が負うぶん、国債の金利が上がるということですよね。そして、国情の金利が上がれば国債の価格は下がる。

小野 そうです。国債の価値がなくなってしまいます。となると、国債を大量に保有している金融機関が信用をなくしてしまう。つまり不良債権を大量に抱えた銀行になってしまうのです。そうなれば預金の取り付け騒ぎがおこったり、銀行がつぶれたりする。そこまでいかなくても、銀行は資産を確保するために貸し出した資金を引き揚げるでしょう。

 そんな状態におちいれば、人びとはますます不安になって現金にしがみつくから消費も減るし、企業も投資をストップする。つまり、経済の状況が一気に悪化し、収縮がおきていくのです。

 怖いのは、このプロセスが瞬時におこることです。人びとが国債は危ないと思えば、損を最小限に抑えようとして、値が下がりきらないうちに売ろうとする。しかし、取引が成立するためには買い手がつかなければならず、値上がりすると思う人がいないかぎり、買い手は現れません。国債の信用が崩壊すれば、買い手はいなくなりますから、売り抜けることはできない。そうなると、売り手はさらに値を下げても売りたいと思う。このようにして、取引が成立しないまま価格だけが一気に下がってしまいます。1990年初頭の日本のバブル崩壊も、2008年のりーマン・ショックでの株価暴落も、これと同じです。いったん下がりだすと、売り抜けようとしても買い手がつかなくなるんです。

・・・・・

 

 小野教授の警告で最も注意を払わなければならない点はここです。

「経済の状況が一気に悪化し、収縮がおきていくのです。怖いのは、このプロセスが瞬時におこることです。」

 この瞬時に起こるというスピードです。「1990年初頭の日本のバブル崩壊、2008年のりーマン・ショックでの株価暴落」よりも、日々その速度を増している。長期金利の上昇も瞬時に起こる可能性がある。

 日銀が今回の金融緩和を通じて資金供給量を2年で2倍に増やすため、民間金融機関から膨大な額の国債を買い入れる、ということは規模を縮小せざるを得ないだろう。

 

 小野善康教授の「不況のメカニズム」、ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ、中公新書2007年4月25日初版、は勉強になった。ケインズはこのように読めるんだ、という素朴な驚きと、その問題点の鮮明なことに感嘆した。

 例えば、こういうところです。

 

164p

・・・消費関数を使って、公共投資が当初の投資額以上の所得増大をもたらすという乗数効果を導き出し、それを根拠に需要刺激策の重要性を強調したため、その後70年にもわたって経済政策の議論に大きな混乱を生み出した。小さな政府による効率追求か、積極財政による景気重視かという不毛な対立である。

166p〜

公共事業の意義とは根拠のない需要の波及効果てはなく、うち捨てられていた貴重な労働資源を少しでも役に立つ物の生産に向けることである。その価値は、それによってできた物の価値のみによって判断されなければならない。ケインズは乗数効果などと言わずにこの点だけを強調し、それこそが真の効率化になると主張して、新古典派の小さな政府論に対抗すべきだったのである。

 

ケインズ政策の政治経済学的側面

 結局ケインズは、物価や貨幣賃金が調整されても発生する需要不足を論証することには、必ずしも成功しなかった。さらに、消費の限界を設定するために安易に導入した消費関数がケインズ経済学の中心的な位置を占め、無意味な乗数効果が導かれ濫用されて、金額だけを問題にする財政出動の根拠となった。

 しかし、乗数効果の有無とは無関係に、需要不足があるかないかによって経済政策の効果は180度変化する。ケインズの貢献は、需要不足の可能性に注目することによって、不況における政策の考え方に重要な示唆を与えたことにある。需要が不足しなければ、新古典派の主張する節約や効率化、価格・賃金調整の迅速化などによる供給能力の拡大は、そのまま実際の生産量拡大につながって、経済を豊かにする。しかし、もし需要が不足するなら、これらの政策はかえって害悪をもたらす。供給能力を拡大しても、需要が足りなければそれを生かせず、それどころか需要不足が広がって不況が悪化するからである。そのとき、不況の解決には需要の構成要素である投資や消費を増やすしかない。

・・・・・

 

 問題は投資不足ではなく需要不足だった・・・そうすると必要な政策は何だろう。

(金融緩和の罠)ではこう述べられている。

214p

―――税収を現金で再分配するより雇用をつくるほうが確実にいいわけですね。それは、社会に必要なサービスやモノがうみだされるという点でも、失業者が減って賃金が下げ止まるという点でも、さらには彼らが能力を向上させたり、社会参加する回路が増えるという点でもいいですよね。

小野 まったくそのとおりで、どうしてそうしないのか、私には不思議で仕方ない。

 しかも、いま完全失業者は300万人前後といわれていますが、彼らを100万人雇うためには消費税を数%上げるくらいで十分なんですよ。1%の増税でだいたい60万人から70万人を雇うことが可能です。2012年に消費増税5%が決まりましたが、その増税分をすべて雇用創出につかったら、完全雇用の状態になりますよ。

・・・・・

 

 経済成長の肝は雇用創出となるようだ。小野教授は「高齢者福祉の公共事業化」ということも提案されている。「社会全体の労働力の活用という本当の効率化」を、本書を読んで皆で考えてみよう。後日に述べたいが「高齢者福祉の公共事業化」はドイツでの成功例もある。また福祉の基本は住宅政策であることを考えても、日本での取り組みは的を外し過ぎている。現金給付で済まそうという安易さを見直すことが必要だと私も思います。「政府と高齢者と銀行の間で、お金がぐるぐるまわっているだけ」という需要に結びついていない、という指摘には思わず苦笑してしまった。

 

「おわりに」で萱野稔人はこうしめている。

236p

お金の信用は国債の実質価値によってささえられている。ただしそれは、たまたま日銀 が国債を資産として大量に保有しているからというだけではない。銀行券としてのお金が 成立してきた構造からいってそうなのである。

 お金の信用とはその国の経済活動を支えるもっとも重要な「インフラ」である。

 私たちは戦後、長い時間をかけで円というお金をここまで信用あるものに育ててきた。金融緩和が危険なのは、その円の信用を担保としてさしだして日本経済を水ぶくれさせようとするからである。

 

 萱野の哲学者としての考え方にも共感できる。

224p

 雇用がうまれれば、それによってモノやサービスもうみだされますから、社会全体の経済福利も向上しますよね。雇用不安が解消されれば、人びとは安心も手にできる。

 お金にしがみついている人生というのは、底のない不安に支配された人生なのかもしれません。貨幣の供給量が足りないので増やす、といった技術的なことではなく、人びとの不安を解消し、お金への執着を小さくすることが、正しい経済政策だということですね。金融緩和は、お金への妄想の延長上にうまれた政策なのかもしれません。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 日本の政治を考える | 16:19 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
円安誘導ショック
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 4−2

金融緩和の罠 萱野稔人 インタビュー・編 

藻谷浩介 河野龍太郎 小野善康  集英社新書 2013422日第2

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 78

 

 日本の家電業界の苦戦が続いている。連日のニュースに家電業界の記事が出ている。シャープの再建は今後の日本の家電業界を占うことになるとの論評が気になります。

 

<シャープ中期計画>見通しなき再建策

毎日新聞 515()732分配信

シャープは14日発表した中期経営計画で、主力の液晶事業の立て直しを経営再建の最大の課題に掲げた。安定顧客との関係強化を進めると同時に、新規の大口顧客の獲得にも努め、液晶工場の稼働率を向上させたい考え。最新液晶パネル「IGZO(イグゾー)」の販売拡大でも収益の底上げを図る方針。ただ新規顧客の獲得などは簡単ではなく、思惑通りに再建が進むかは見通せない。【横山三加子】

 

 海外では、日本の家電業界の凋落をどう見ているのか?

 中国の人民網はこう報じている。

要点

・世界の格付け機関はパナソニックとシャープの信用格付けを「ジャンク級」に引き下げた。経済日報が伝えた。

・日本の家電・電子製品の販売は2005年より年を追うごとに疲弊。

・新製品開発に巨額を投じたが、韓国のサムスンやLGに追い抜かれた。

・日本では近頃、家電衰退の原因を深く反省する動きが広まっている。

・根本的な原因は日本企業の経営戦略の失敗にあるとしている。

・韓国籍の経営専門家の金美徳氏は、日韓企業の経営の特徴を分析し、問題点を指摘した。

・日本企業は技術イノベーションに依存しすぎ、市場マーケティングを軽視している。

・海外人材戦略の失敗。

・日本政府の自由貿易戦略(FTA)の失敗。

・毎年の赤字に直面しながらも、日本企業は再起を図っておらず、逆に家電生産から全面撤退する戦略調整を選択している。

・過度な投資により、回収難と巨額の負債に陥っている。

 

 大名企業は豊富な資金の供給力と技術力があるがゆえに、その上に安住し、過信により世界戦略を誤った。電子立国日本と韓国企業はウサギと亀の童話のようだ。

 以下記事前文

日本家電企業が赤字を続ける原因とは?―中国メディア

Record China 56()1812分配信

201353日、日本家電業界は輝かしい歴史を持ち、かつて数多くの世界一を創出した。パナソニック、ソニー、シャープ、日立は、人々のよく知るブランドになった。しかしながら、かつて一世を風靡した「家電王国」は今や深刻な苦境に立たされており、家電企業全体が赤字に陥っている。パナソニックの2012年会計年度の赤字額は7650億円に達し、シャープの昨年半年間の赤字額は3875億円の新記録を更新し、ソニーテレビ事業の半年間の赤字額も155億円に達した。日本3大家電メーカーは2012年通年で約17000億円の赤字を計上した。世界の格付け機関はパナソニックとシャープの信用格付けを「ジャンク級」に引き下げた。経済日報が伝えた。

日本家電メーカーの衰退は今に始まったことではない。日本の家電・電子製品の販売は2005年より年を追うごとに疲弊し、原動力不足の傾向を露呈した。テレビは家電・電子製品の代表格だ。パナソニック、ソニー、シャープは新製品開発に巨額を投じたが、韓国のサムスンやLGに追い抜かれた。韓国2大企業は2012年、世界テレビ市場で34%のシェアを占めたが、日本6大企業のシェアはわずか31%のみとなった。販売ランキングのうち、サムスンが1位、LG2位となり、パナソニックが3位に甘んじ、ソニー、シャープ、東芝はさらに低い順位につけた。競争が日増しに激化する電子通信市場において、日本企業はアップルやサムスンに遠く及ばず、市場シェアが毎年低下している。日本の家電・電子製品の年間輸出額は2007年の時点で17兆円であったが、2012年には11兆円に減少した。昨年末時点で、パナソニックの家電事業は3年連続の赤字となり、ソニーは7年連続とさらに深刻だ。日本家電・電子業界は日本の業界関係者から「長期低迷する落ち日の産業」と称されているほどだ。

 日本では近頃、家電衰退の原因を深く反省する動きが広まっている。ある人はアジア企業の台頭に責任を押し付けているが、それより多くの専門家は自らを反省し、根本的な原因は日本企業の経営戦略の失敗にあるとしている。韓国籍の経営専門家の金美徳氏は、日韓企業の経営の特徴を分析し、問題点を指摘した。まず、日本企業は技術イノベーションに依存しすぎ、市場マーケティングを軽視している。金氏は、「日本企業は最も先進的な家電製造技術と高いイノベーション力を持つ。ソニーの科学研究投資と技術力はいずれも世界一流レベルだ。しかし日本企業は良い製品を作れば売れるはずという固定観念に縛られており、市場の動向および消費需要に対する分析が不足している。これとは対照的に、韓国企業は経営の重点を市場マーケティングに置き、異なる消費者に異なる製品を提供することで、異なる消費需要を満たしている。韓国企業は、最高の商品ではないが消費者に最も適した製品という観念を貫いており、すぐに市場を占めることができた」と指摘した。

次に、海外人材戦略の失敗だ。長期的な円高進行に伴い、日本企業は生産を海外に移転せざるを得なくなった。そのため現地人材の登用、彼らを通じて市場を理解し、現地に適した製品を生産することが、企業の海外進出戦略の成功の鍵となった。日本企業は伝統的な観念に縛られ、本国の社員を信頼し、役員および重要なポストで日本人社員を採用した。そのため現地職員は向上心と、より高いポストを勝ち取ろうという積極性をそがれた。

それから、日本政府の自由貿易戦略(FTA)の失敗だ。日本政府は企業が国際競争を展開するための理想的な条件を整えてやらず、日本製品の孤立を招いた。韓国はすでに45カ国とFTAを取りまとめている。日本政府は国内農産物市場を過度に保護し、建築・サービス産業の開放により本国企業の経営・発展が損なわれることを懸念しており、FTA問題で消極的になり、進展が緩慢になっている。調査によると、主要輸入国の対韓国家電・電子製品の関税率は5%のみだが、対日本製品の関税率は13%に達している。韓国製品の優位はここからも明らかだ。

 毎年の赤字に直面しながらも、日本企業は再起を図っておらず、逆に家電生産から全面撤退する戦略調整を選択している。日立、三菱、東芝はこのほど、家電生産をほぼ放棄した。パナソニックは家電部門の大幅縮小を決定し、投資の重点を自動車・航空機用の電子機器に置く。ソニーはテレビの生産・投資を全面的に削減しており、今後は利益率の高い医療機械の開発に注力する。シャープの結末は最も悲惨だ。シャープはこれまでの過度な投資により、回収難と巨額の負債に陥っており、買収されるか破産するかの苦境に立たされるだろう。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/TF

・・・・・

 

しかし、日本の家電企業は不死鳥のように必ずよみがえる。私はそう確信している。円安を背景に海外市場を必ず取り戻す。円高で価格競争が出来なかった企業はイノベーションと巨大投資で勝負に出たが、韓国企業のゲリラ戦に敗れただけだ。しかし、・・・それが裏目に出たのだった。

 

 2004年から2007年夏までの円相場を見てみよう。2004年から円安傾向にあり、2007年7月には1ドル=124円を記録している。ゼロ金利政策が拍車をかけている。円が安くなったことから外需のバブルが中規模ながら発生し景気が回復していたはずなのだが、日本の家電・電子製品の販売は2005年より年を追うごとに疲弊してきたのだった。

 

(金融緩和の罠)第2章で河野龍太郎は興味深いことを言っている。

・・・・・

金融緩和のもたらした通貨安が製造業をダメにした

119p〜

・・・日本の電機メーカーがいま苦境におちいっている原因を分析してみると、それは極端な金融政策が導いた過度の円安によって設備投資の判断を企業が誤ってしまったからだ、という仮説が浮かび上がってくるんですね。

 そもそも、日本の製造業は新興国の追い上げを受けていて、一方で国内の労働力人口は減っているわけだから、シンプルに考えれば日本の割高な賃金では採算のとれないような製品は海外に生産拠点を移さないといけないわけですね。

 経営学の言葉で、「スマイルカーブ」というのがあります。商品の企画、製造、販売という流れ、つまりバリューチェーンを考えたとき、それぞれの段階での収益性をあらわしたものです。その流れの真ん中にある工場の部分、生産工程の部分というのは収益性がもっとも低い。一方、収益性が高いのは、はじめの企画立案であるとか開発、あるいは商品を売ったあとのアフターサービスです。だから収益性のグラフを描くと両端の上がったスマイルカーブになるんですね。

 日本の電機メーカーは、このカーブの真ん中にあたる収益性の低い生産工程の増強を、もはや国内でやってはいけなかった。しかしやってしまったんです。それはなぜか。その原因は2000年代半ばまでの超金融緩和の長期化・固定化がもたらした円安です。

 

小泉政権下の円安誘導が家電メーカーショックの遠因

 

―――それってこういうことでしょうか。経済の実態以上に円安が進み、国内の生産拠点の競争力が上がってしまった。それで経営判断を誤って、収益率が低くて本来は海外に移転しなければならない生産設備を、国内にたくさんつくってしまったと。

 

122p

河野 ・・・実質実効為替レートでみればそれに匹敵する超円安状況が2005年から2007年に訪れていたんです。つまり、そのころは、日本の実力からはかけ離れた円安水準になっていたのです。

 

―――その円安水準のうまみが忘れられないから「円安じゃないと日本企業は生き残れない」という騒ぎがおこるんですね。

河野 そうなんですよ。当時の円安は、本来、持続可能ではない円安だったのです。

そんな水準の円安がなぜ他国から容認されたのかというと、ちょうどこの時期は、リーマン・ショック前の世界的なバブル期でした。とくに資産バブルに沸いていた欧米各国では消費が旺盛で、日本からの輸入を積極的に受け入れた。だから、あの極端な円安が容認されたのです。

―――つまり日本経済は輸出バブルに踊っていたわけですね。

河野 しかも超円安のせいで、かならずしも高い付加価値につながらないような製品の組み立てまで日本国内でおこなっても、まだまだ有利だと勘違いしてしまった。

 そして、これはバブルの常ですが、この状況が永続すると思い込んだ。その過程で日本企業は、国内の高い賃金水準のもとでは本来採算のあわない生産工程にまで設備投資をしてしまったんですね。

―――その後遺症が、たとえばいまの電機セクターの過剰ストックだということですか。

・・・・・

 

「過度の円安によって設備投資の判断を企業が誤ってしまった」という経緯の指摘には、なるほどという不意をつかれた驚きがあった。企業はこの反省に立つと、金融緩和での資金は金融と海外への投資に向かうことになるので、金融政策は限定的で一時的なものに終わるということになるのかも知れない。国内での物づくりが苦戦することにも変わりは無いようだし、賃金に反映されることも一部の人になりそうだ。

 

河野は財政・金融政策の本質を「財政政策は所得の前借であり、金融政策は需要の前倒しである」と簡潔に表現している。

 

その河野は今、考えたいことは「需要としての設備投資」だといっている。

これは読んでおきたい。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 日本の政治を考える | 07:20 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
マクロ政策の限界
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 4−1

金融緩和の罠 萱野稔人 インタビュー・編 

藻谷浩介 河野龍太郎 小野善康  集英社新書 2013422日第2

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 77

 

 株価は日本経済の実力以上に安すぎる感があったので、上昇するきっかけが必要だった。世界的な金融緩和の金余り減少で不安感のあるユーロ圏へのマネーが日本に逃避してきているということや、グローバル・マネーが円安で株価に値頃感を与えていることが要因で更に上がるだろう。この株価は消費税増税半年前からは一服する。お金儲けに興味のある人は今のうちに儲けておくべきでしょう。理由は以前に紹介した、植草一秀の(大躍動)を読んでください。売りの目安は植草さんのようなプロのエコノミストの有料サイトで見ることが必要だろう。素人の感では1万7千円ぐらいでしょうか?

 日本の産業の大半の数を占める、内需中心企業にエネルギーコストの上昇は致命的な減益を迫ることになる。年末には円安によるコストプッシュ・インフレで株価の大幅な下落も予想される。銭ゲバ達の売り一色と経済ナショナリスト達の仁義無き戦いが見所となる。

 円高が進んでいた状況は外国から見ると日本人の資産は増えていることであり、所得も増えていることになるのだが、円安・インフレは逆のことになっているわけです。日本は円安が進んでいる分だけ貧乏になっているだけで、景気が良くなっているわけではないので喜んではいけない。経済成長のためのエネルギー戦略こそが1丁目1番地であることに変わりはない。

 そもそも、インフレターゲットの的は国民を豊にすることではなく、国民にインフレ税を払わせて、国債を実態としてデフォルトさせることがターゲットであるような気がしてきている。それを確かめることが出来るのは夏過ぎになる。猛暑でエネルギー需要が増加し、値上げした電気料金に苦しむ国内産業に政府がどう対応するかを見極めることで、政府の成長戦略が読める。そして、矢はどのターゲットを打ち抜こうとしているのかが分かる。国民として残念なことはその頃には参院選は終わっていることだ。どうなるにしろ、与党と野党のバランスを考えた投票行動が必要だろう。

 選挙の前に金融緩和について勉強しておきたいと思い、しばらく勉強することにしました。どのような副作用があるのか?どのようにコントロールすることが出来るのか?破滅的なことにならないとは思いますが、どうなるのだろう?ということで、この書からスタートすることにしました。

 

本書は哲学者である萱野稔人が3人のエコノミスト・経済学者との対談で進められる。カバーにはこう案内されている。

 

「アベノミクスでにわかに注目をあびる金融緩和政策。しかし、「日銀が大量にマネーを供給すれば、景気が回復する」というのは机上の空論だ。「失われた20年」をもたらした本当の理由を覆い隠し、かりそめのバブルを引き起こすだけではないか。

 しかも副作用の大きさは計り知れない。国債の信用喪失に始まる金融危機、制御困難なインフレなど、さまざまなリスクを第一線のエコノミスト・経済学者らが、哲学者と徹底的に討論。

 金融緩和の落とし穴を見極め、真の日本経済再生への道筋を描き出す!」

 

 哲学者が何故に?金融緩和についての書を出そうと思ったのか?

はじめに、より――「日本社会が金融緩和にのめりこんでいくなかで、金融緩和の効果を慎重に考察することはやはり必要である。私の専門は哲学だが、哲学があらゆる領域の問題とかかわる知的実践である以上、日本のゆくえを左右する金融緩和策について、経済学の用語をこえた議論の場をつくることも哲学者の仕事であるにちがいない。本書が日本経済の未来を考えるための開かれた契機となることを願う。」

 

 何故に藻谷・河野・小野の3氏なのか?

はじめに、より――「本書がめざすのは、金融緩和の効果と限界、そして副作用を冷静に見極めることである。

 そのために本書では、金融緩和策に批判的な三人の専門家に話をうかがった。

 まず、日本全国をみずからまわり、日本経済の現状を具体的に知悉し、マクロ経済学がおちいりがちな抽象性をつねに批判している藻谷浩介氏。

 つぎに、金融緩和で潤うはずの金融業界の最前線にいながら金融緩和に異を唱えている河野龍太郎氏。

 そして、ケインズ理論の瑕疵をのりこえる独自の不況理論を打ちたて、世界的にも評価されている小野善康氏。

 三人に共通するのは、第一線で活躍するエコノミスト・経済学者である、ということだけではない。市場のなかだけで経済を論じるのではなく、日本経済が現在、歴史的にどのような局面に差し掛かっているのかという大きな問題まで含めて議論を展開している点も三人に共通する。」

 

 第1章 ミクロの現場を無視したリフレ政策

「デフレの正体」著者、藻谷浩介の論は最近の経済書ではしばしば批判の対象になっている。それについての藻谷の反論はちゃんと聞いておかなければならない。

 

32p

私は貨幣現象であるデフレについて語っているのではなく、日本で「デフレ」と呼ばれているものがじつは、「主として現役世代を市場とする商品の供給過剌による値崩れ」という、ミクロ経済学上の現象であると一貫して指摘しているわけですが、そうであればこそ2010年に出した拙著の題名についても、『「デフレ」の正体』と、デフレに「 」をつけておくべきだったと反省しています。そうしなかったばかりに、「藻谷氏はミクロ経済学上の値崩れのことをデフレと勘違いしている」という、とんでもない誤読をした先生までいます。ちゃんと読めば、そんな話をしているのではないことはわかるはずなのですが、題名だけを見て中身をよく見ていないのでしょう。流行の「速読」ですかね。

35p

 平均値「物価」で見るから間違える

藻谷 デフレという言葉が誤解を招くように、「物価」という言葉にも問題があります。

『デフレの正体』でも、小売販売額と個人所得の増減を論じましたが、物価という言葉は一回も使っていません。

 というのも物価はあくまで、値崩れした分野とそうでない分野をいっしょくたにしてしまった平均値です。これだけで「デフレだ」「インフレだ」と論じるのは、「分布を見ずに平均値だけでものを語ってはいけない」という、統計学の初歩の初歩に反する行動ですよね。個別の企業のパフォーマンスのばらつき具合を見ずに経済成長率という平均値だけを論じるのも同根です。全体像をつかむには、平均値や伸び率のまえに、全数調査で積み上げられた絶対数の動きを確認する。細かい事実の分布からの「帰納」を武器に、複雑な実態に薄皮をむくように追っていく。このふたつが不可欠なのです。

―――だから、平均値や伸び率でとらえるしかないマクロ政策には限界があるというわけですね。

藻谷 そのとおりです。マクロ経済学というのは、経済社会全体において一律に、同じ現象が地滑り的におきているという前提で、平均値だけを議論しているわけですね。

 ところが、現実の経済社会には、分布というものがあるのです。平均値を使った議論では、分布の中心から外れたあたりでなにがおこっているかは捨象されてしまう。リーマン・ショックの原因が、めったにおきることのない暴落のリスク、いわゆる「ブラック・スワン」のおきる確率を、現実よりさらに低く見積もっていたためだったというのは記憶に新しいところです。

38p

 リフレ論者は、こうしたひとつひとつの事実を無視して、平均値さえ上がればいいのだと教科書に書いてあるセオリーをざっくりともちだしてくるのですが、あまりにも思考の網が粗いといえるのではないでしょうか。

58p〜

―――藻谷さんは、人口オーナスの影響について現実の数字をあげてきちんと説明されているのに、「経済学がわかっていない」と大バッシングを受けていて気の毒ですね。ご著書もなぜか、「人□減少が貨幣現象としてのデフレをおこす」と主張していると誤読されていますね。

藻谷 そういう誤読については、本当に腹立たしいですし、「学者」を名乗る人が公然とそのようなことを本に書いたりしているのを見ると、この国の輸入学問の水準ってこんなものなのか、と暗澹とした気分になります。

 いちばんひどいのは、「人口が減少している国や、高齢化率の上昇している国でもインフレはおきているので、藻谷の言うことは間違っている」という主張です。しかし、私が議論しているのは生産年齢人口の減少であって、人口減や高齢化率の上昇ではありません。

60p〜

・・・しかしどうしても、「生産年齢人口減少があまねく物価下落をもたらす、などということはありえない」という定理を、諸外国との比較により証明したい人がいるとしましょう。これ自体、私の指摘とは無関係な話ですが、その場合には、生産年齢人口が減っている国同士を比較するのではなく、「生産年齢人口の増減以外の、ほかの基本的な経済状況が同じ国」を探して比べるのが、科学の基本中の基本です。

61p〜

・・・つまり、生産年齢人口の減少を消費縮小の誘因とみる私の議論に対して「生産年齢人口の絶対数が減少しているドイツ、ロシア、東欧、韓国、ジンバブエなどではデフレが生じていない」と批判する人は、生産年齢人口が日本同様に減っている国をもってきた時点で、全学問分野に共通の論理を踏み外してしまっているのです。一部の経済人や政治家がそうであることまでは、残念だとは思いますが責めません。ですが曲がりなりにも「学者」や「エコノミスト」を名乗る人物がこのような論を公言するというのは、日本の学問の水準を貶めているという点で、とんでもなく嘆かわしいことです、

79p〜

・・・これまでお話ししてきたように、日本でのいわゆる「デフレ」は、貨幣供給が少ないことによって全般的におきているものではなく、主として現役世代を市場とする商品の供給過剰による値崩れですから、やっぱり日銀には無関係でしょう。

 これは結局、信じる人は信じるという話で、リフレ論への賛否の議論が「神学論争」と呼ばれるゆえんです。

 ただリフレ論の信者に、ある共通の属性があることは間違いないでしょう。それは「市場経済は政府当局が自在にコントロールできる」という一種の確信をもっていることで、だからこそ彼らは日銀がデフレもインフレも防げると信じるわけです。

 これを私は「近代経済学のマルクス経済学化」と呼んでいます。昔ならマルクス経済学に流れたような、少数の変数で複雑な現実を説明でき、コントロールできると信じる思考回路の人間が、旧ソ連の凋落以降、近代経済学のなかのそういう学派に流れているということなのではないでしょうか。

・・・・・

 

藻谷浩介の反論には同意できるところがあります。世界的に特殊な日本の経済・財政状況の中で、一律な論では解き明かせない部分もあると思うので、統計学を取り入れて考えてみよう、というのは当然です。

基本的には、まだ誰も経験していない世界では、個別特殊な事象を丹念に拾い上げて分析し、それが何を意味しているのかを探り、集積したものから普遍性を見つけ出す作業が要ります。私のような文化人類学を生甲斐とするものには常識なのですが、経済学ではそうではないのかなと思っていました。理論があって事象に当てはめることは科学的でもありません。そもそも未来を語ることは未知の世界なのですから、仮説にしか過ぎないのです。大上段に切り捨てる論理こそ、疑わなければなりません。

 

その上で藻谷は日本経済にとって大切なものは、

「本当は付加価値生産性という単なる分数を大きくすることより、うんと重要なことがあるのです」それは、「付加価値額の増加です」といっている。

藻谷浩介の論に批判的な人にこそ、なお一層に読んでもらいところです。

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原子力商戦 日本の課題
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 3−2

激化する国際原子力商戦 その市場と競争力の分析 村上朋子を読む

エネルギー・フォーラム 2010年12月6日初版第1刷

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 76

 

NHK NEWS web 5月3日7時0分 

安倍政権 日本企業の原発輸出を後押し

・・・ヨーロッパに派遣されている松山外務副大臣は、3日にフィンランドで政府の要人と会談し、現地で進められている原発の建設計画などを巡って意見を交わすことにしています。
松山副大臣は、先月30日には、日本企業が優先的に原発建設の受注交渉を行う権利を持ちながら、国民投票で原発反対が多数を占めたリトアニアを訪れ、エネルギー相に対し、世界の原子力の安全に取り組む決意を伝えて、計画の推進と日本企業への発注を促しました。
原発の輸出については、福島第一原発事故のあと、国内になお慎重論もありますが、安倍政権は、日本の技術の高さをアピールし、日本企業の原発輸出を後押ししていく方針です。

・・・

アベノミクスにおける経済成長の主要課題に原発産業振興があるようです。今「激化する国際原子力商戦」を読むことに大きな意味を感じています。

 原子力反対派も賛成派も今後の原子力発電が気になるところです。本書の概略を紹介することは、本書を読むことによって今後の動向が判断できると考えたからです。反対派は反対派なりに、賛成派は賛成派なりに読んでみてはいかがでしょうか。

・・・

 

第3章「新興国における原子力導入の動向」では2008年頃から現れ始めた新興国の国際入札・落札の動向について、主として新興国領の事情を分析する。

 

・・・2000年代以降の国際人札・企画競争においては、明確にそれ以前とは違う思想が見受けられる。原子炉プラント本体や核燃料安定供給といった原子力事業だけでなく、資金調達スキーム、関連規制体系整備、道路・港湾・送電設備等のインフラ整備、長期的な人材育成、果てはエネルギー供給多様化や低炭素化・高付加価値化、国全体の産業振興策など、関連する様々な事業に関する提案がもはや普遍的と言っていい。さらに、これまでは天然ガスや石炭といった既存の発電手段との価格競争力のみが問題とされていたが、現在は原子炉の炉型あるいはプラントメーカー間での価格競争力も問題となっていること、すなわち原子力産業内部での勝ち残りも厳しくなっている。

 

第4章からは産業界のプレーヤー及び技術の概要と動向に視点をあてる。第4章「原子力産業の変遷と各社の事業戦略」では1980&90年代の新設低迷期から2006年以降の激動まで概観し、企業の行動原理には各国のエネルギー政策における低炭素化志向・電気(エネルギー)事業者の電源多様化志向があること、従って企業も電源ごとのコスト競争力に着目しつつ「低炭素電源」事業ポートフォリオ(安全性や収益性を考えた、有利な分散投資の組み合わせ。)の一環として原子力事業を展開していることを述べる。

 

・原子力発電が開発途上にある他電源との比較でコスト競争力を維持していくためには、技術進展もさりながら、許認可プロセスの合理化など技術以外の制度整備も重要である。それがなされなければ、原子力以外の多様な低炭素技術を有しているプラントメーカー、特に高い開発・製造技術力と豊富な海外納入実績を有するプラントメーカーにとって、原子力は成長性のある事業分野とは言えなくなるであろう。

 

東芝

・原子力事業の特徴は、自社の製品・サービス技術力、自社内装にこだわるというよりも、顧客へのサービス提案力を重視していることと言える。そのためには自社内に所有していない技術・事業について、顧客への提案にプラスとなると判断すれば速やかに買収することも躊躇しない。

・ものづくりのプラントメーカーというより商社に近い感がある。

日立

 原子力事業に関する日立の事業方針はひとことで言えば「堅実」である。積極的な拡大を図るというよりは、GE主導のマーケティングのもと、自社の強みであるBWR事業(Boiling Water Reactor:沸騰水型原子炉)の更なる深化と発展に専念している。

三菱重工業

 MHIはすでに数年かそれ以上前から海外市場への展開を手がけており、徹底した内製方針に基づくものづくり技術を活かしながら米国や欧州で実績を挙げつつある。同社の場合、すでに高効率石炭火力・タービン等、他の事業とのシナジーも有効であると考えられ、「低炭素」「環境」を軸とした国際事業の拡大には今後とも高い期待が寄せられる。

 

第5章「多様化? 寡占化?・原子炉技術の将来性」では現在開発中の炉概念を紹介し、プラントメーカー各社の戦略と資源配分状況、国際会議での検討状況をレビューし、研究開発の芽は大事だが、結局はブランドと価格競争力により顧客に厳しく選択される世界であることを述べる。

 

ユーザーに選択される炉型の条件

・革新的な炉型がユーザーに認知されるには、まず国際的な学会やシンポジウム等、学術性の高い公開議論の場で認められることは最低条件であろう。

・その次の段階として新型炉に求められる条件は、他電源と比較したコスト競争力であり(原子力の場合は特に建設単価)、あるいはコスト低減の見通しである。

・開発当事者は、電気事業収入が同程度ならば、スイッチングコストをユーザーに負担させないことを実用化の必須条件と考えていくべきであり、そのような開発者間の公平かつ健全な競争が長期的な原子力産業の発展を促進するであろう。そしてそのような場合、炉型選択は各国それぞれのエネルギー事情に応じたポートフォリオ最適化に沿って行われるはずであり、いくつかの主流概念といくつかの有望なニッチ概念とが混在する現在の炉型別シェアがそれほど大きく変化することは考えにくい。

 

第6章「原子力産業の供給源は世界中に−原子力産業を支える供給事業者」では幅広い事業ポートフォリオと高水準・高品質の技術を有するサプライヤー(商品製造業者。また、原料供給国)から見た視点で原子力産業を評価。

 

・エネルギー安定供給という観点から原子力産業の根幹を形成しているのは、商業用原子力発電所の設計・建設・運転そして廃止措置というプラントライフサイクルである。この各ステップにおいては、原子力発電所を所有・運転する電力会社だけでなく、設計・建設技術を有するプラントメーカー、設備・機器を供給する機械・電機メーカー、その機器等の部品・素材を供給する部品・素材メーカー、土本建設を担当するゼネコン、水化学管理等を担当する化学メーカー、工程管理やメンテナンス等を担当するエンジニアリング会社等、幅広い分野にわたりプレーヤーが参画している。ほとんどの企業は原子力事業を専業にしているわけではなく、火力・水力発電、産業機械、重電、家電、電子デバイス、IT・コンピューター、化学、医療、バイオ等々、製品サイクルも投資回収期間も様々な事業のポートフォリオの一環として原子力事業を有している。

 

・サプライヤーが企業の中長期的な戦略を構築する際、まず注視しているものは、各社が市場としている各国のエネルギー・環境・産業政策である。言うまでもなく基本は政策がぶれないことであり、エネルギー需給を取り巻く状況変化や技術の進展に応じ新規項目が追加されたりすることは許容されても、例えば「原子力発電を電源選択のーつとするか、しないか」という大きな項目で180度姿勢が変わるようなことがあれば、その国はもはやサプライヤーから支持されない国と見なされる。

 

第7章「原子力産業と核燃料サイクル技術展望」では核燃料サイクル技術の各プレーヤーから見た視点で、原子力産業を評価する。

 

フランス・ロシア・米国等、核燃料サイクル技術先進国とは決定的に異なり、軍事開発を経験しておらず、海外技術導入からサイクル事業を始めた日本の民間企業としては、フランスやロシアの「プラントとサイクル、両方の事業を全て有する」形態を安易に模倣するよりも、足元の持てる技術を高める、具体的には濃縮役務の国産化比率を高める方が先であろう。

 

第8章以降は以上を踏まえた日本の原子力産業の将来展望である。第8章「日本の原子力産業構造の特徴と課題」では日本の現状に即した国際展開戦略を分析

 

オールジャパンとしての海外原子力展開事業

・大型原子力発電所導入に伴う大容量送電設備・港湾設備・関連工業施設・高速通信網などのインフラ整備まで含めた総合エンジニアリング・ソリューションの提案力。

・原子力を初めて導入する新興国

インフラも未整備な発展途上国には原子力のような高度な発電技術だけでなく、例えば水道・高速道路・高速鉄道網・高速通信網等々のインフラ整備のニーズや、科学技術全般にわたる長期的な人材育成、大学や研究所等の高等教育システムの整備のニーズも高い。従って政府間交渉で原子力導入「だけ」が話題に上がることはまずなく、上記の多様なニーズを背景に、先進国から包括的な協力を引き出す一環として原子力協力が取り上げられることが普通である。すなわち、原子力導入支援の少なくとも初期段階においては、包括的な協力についての協議が必須であるため、政府の深い関与と原子力以外の様々な産業の一体的な協力が必要ということである。

・フランスやロシアはサイクル技術、特にフロントエンドで必須の濃縮技術を有しており、他国に濃縮役務を提供できるほどの設備容量を有していることであった。これが特に新興国向けの商談で有利にならないはずはなく、濃縮施設を(ほとんど)特たない日本は新興国の要求する燃料供給保証を満たすことができず、フランスやロシアと比べて事業機会を逸する可能性が高いというものである。従って、早期のサイクル技術の確立及び濃縮施設のフル稼働(1500tSWU/年)は、日本のエネルギー安定供給の観点のみならず、国際展開の観点からも強く望まれる。

 

「国際原子力開発」の今後―電気事業者の関与

・受注事業者の一部として参加する場合――貢献範囲を明確に限定

・出資者として参画する場合――中途半端な出資は無意味

・オペレーターとして参画する場合――過半数株式を有した上で燃料調達計画も含め積極的関与を

 

第9章「日本はどうする、どうなる?真の成長戦略へ」でそれを総括するとともに、日本の産業競争力向上に原子力産業が果たすべき役割についても提言を試みている。

 

日本の原子力産業が今後目指すべき姿勢と将来像「新成長戦略」

 

他産業よりリスクが大きい原子力産業の海外展開先の条件

日本にとって適切な相手の選択

1)有望な拡大市場であり、海外企業にとっての参入障壁が低く、民間企業として参入のメリットが十分見出せること。

2)他分野も含め日本企業の進出実績があり、資金調達環境や資材・人材などのネットワークがあること。

3)資源やレアメタル・原材料・食料等で今後日本にとって貴重な取引相手であること。

 

民間・原子力非専業の強みを活用

・原子力専業ではない総合エンジニアリング企業として幅広く市場動向や顧客ニーズを把握する視点も備えている

・他事業での経験を原子力事業にも水平展開できる柔軟さを持ち合わせている

 

「ものづくり技術力」こそエネルギー産業成長力の源泉

低炭素電源での生き残りをかけて――コスト競争力向上は必須の課題

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国際原子力商戦
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 3−1

激化する国際原子力商戦 その市場と競争力の分析 村上朋子を読む

エネルギー・フォーラム 2010年12月6日初版第1刷

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 75

 

 3.11以降、国際原子力商戦の火は消えたかに思ったが、決してそうではなかった。世界の趨勢は原子力再燃のなかにあった。原子力商戦はどのような経緯をたどってきたのだろうか?それを知ることで今後の原子力政策を占うことができるだろう。

 安倍成長戦略は超巨大投資が必要な原子力発電の国際商戦に生き残るための舵を切った。日本のものづくりという得意分野を国際競争力に活かそうとしたものでしょう。原子力の反対派も賛成派も原子力商戦とはどのようなものなのだろうか知っておく必要があるように思えます。人類の未来に直接関わる核利用が、今後どうなるのだろうか?誰もが気になるところです。本書は大いに参考になることでしょう。六ヶ所村・・・、もんじゅ・・・、世界の動向は・・・、日本はどんな戦略をとるのだろうか・・・読んでみてはいかがでしょうか。

 

201354 10:38 (AFPBB News)

安倍首相、トルコ首相

54 AFP=時事】トルコを訪問中の安倍晋三(Shinzo Abe)首相は3日、首都アンカラ(Ankara)でレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相と会談し、同国第2の原子力発電所を日仏の企業連合が建設するための原子力協定に署名した。

 日本が原発を輸出するのは、東京電力(TEPCO)福島第1原発事故後で初めて。企業連合には、日本の三菱重工業(Mitsubishi Heavy IndustriesMHI)と伊藤忠商事(ITOCHU)、フランスのアレバ(Areva)とGDFスエズ(GDF Suez)に加え、トルコ企業1社が参加する。(c)AFP=時事/AFPBB News

・・・

著者 村上朋子(むらかみ・ともこ)

1990        東京大学工学部原子力工学科卒業

1991        東京大学大学院光学系研究科原子力工学専攻修士課程終了

2004 慶應義塾大学大学院経営管埋研究科修士課程終了、経営学修士

19922000 日本原子力発電(株)高速炉開発部

20002002 同 発電管理室 主任

20042005 同 廃止措置プロジェクト推進室 主任

20052007 ()日本エネルギー経済研究所 産業研究ユニット 主任研究員

2007〜   同 戦略・産業ユニット原子力グループ グループリーダー

・・・

まえがき より

本書において筆者が描くのは「21世紀のエネルギー・環境潮流の中で、各国がどのように原子力を位置づけ、企業はどのように事業・技術選択を行い、そして原子力の将来はどうなるか」というトレンドであるが、そこには常に他エネルギーとの関係という視点も入れており、特に原子力推進の根幹ドライバーである「エネルギー安全保障」の観点からの切り口も考慮している。そのような本書が、エネルギー・環境問題の中での原子力の位置づけを理解するきっかけとなれば幸いである。

 

本書の構成 本書は全9章から構成されている。

第1章の「21世紀のエネルギー・環境潮流」と第2章の「世界各国の原子力政策・開発動向と見通し」は少しだけ詳しく紹介したい。世界の原子力利用の地図を知らなければ、今後の原子力産業が見通せないと思うからです。

・・・

第1章「21世紀のエネルギー・環境潮流」では、地球温暖化問題意識の高まり、化石燃料高騰と資源ナショナリズムと新興国の需要急増から需給逼迫懸念が現実となった2000年代のトレンドを簡単に概観する。

 

・1990年代に規制緩和による競争が激化し小売価格が低下した結果、2000年代には米国カリフォルニア州、ニューヨーク州、欧州ではイタリア等で大停電が何度か発生し、その前後では卸電力価格が急上昇し、安定的な電力供給に大いに支障を来す事態となった。北欧ではさほど長期の大停電は起きていないものの、冬の電力需要ピーク特には必ずといっていいほど価格が上昇しており、やはり需給にあまり余裕がないことがわかる。電力価格の上昇には化石燃料価格高騰だけではなく、規制緩和も大きく影響しているが、いずれにせよ安全保障への懸念は2000年代から急激に高まっている。

 

・2000年代以降、世界主要国ではエネルギー安全保障を巡る政策が強化されている。1970年代の2度の石油危機を受け、エネルギー源の多様化と省エネルギーが進められてきたが、それに加えて「新興国の台頭、エネルギー需要急増及び資源ナショナリズム」が新たなドライバーとなったのが2000年代のそれまでと異なる特徴と言える。米国 では石油・ガス国内生産の増強、英国では天然ガス供給能力増強、ドイツ・英国・北欧等では再生可能エネルギー普及促進、中国では海外資源確保、韓国や日本ではさらなる化石燃料依存度低減と省エネルギーというように、各国においてそれぞれのエネルギー事情を反映したエネルギー安全保障政策が進められている。

 

・2035年のCO2排出量は「レファレンスケース」の415億トンから293億トンまで123億トンほど削減することが可能である。この削減分を要因・技術別に見ると、省エネ46%、燃料転換(石炭からガス、ガソリンの燃費向上等)32%、C02回収貯留技術(CCS)21%、原子力・10%となっており、主たる寄与は省エネによるものである。

 

・世界のエネルギー供給構造の変遷、それによってもたらされたエネルギー安全保障への懸念、温暖化防止を強く意識したエネルギー政策の変遷は、世界の主要国におけるエネルギー産業構造にも影響を与えた。その変化の構図は二通りに大別される。一つは、政策を直接的に浸透させる観点から国営化する等して国の関与を強めること、もう一つは市場メカニズムを活用し、市場における最適化・効率化を図ることである。前者はロシア、中国、フランス、韓国等で、後者は米国、英国、日本等で取られているものである。

 

・エネルギー・環境関連の潮流の変化自体を自国の戦略的成長産業とマッチさせ、活用しようとする動きもすでにいくつかの国で取られている。米国のオバマ大統領が就任直後に打ち出した「グリーン・ニューディール政策」は、エネルギー政策上の重要課題である省エネルギーと低炭素化とを、それらの産業における雇用促進と技術開発の進展と両立することを目指したものである。

 

第2章「世界各国の原子力政策・開発動向と見通し」で2005年ごろからの世界主要国の原子力政策を概観。

 

商業用原子力発電所を有する30カ国は、保有する設備容量及び発雷電力量に占める原子力発電の比率(原子力シェア)の2軸により、図2―1のように以下の4分類に大別できる。

1)大設備容量・高シェア:「原子力大国」

早期から原子力開発を進め、基幹電源として運用技術を確立している国。

(例)フランス

2)大設備容量・低シェア:「エネルギー大国」

早期から原子力開発を進め、一定以上(10GW〜)の設備は確保しているが、エネルギー消費規模が大きいためそれ以上に電力需要が多く、他の燃料による発雷電力量も多いことから原子力シェアは30%に満たない国。

(例)米国、日本、ドイツ、ロシア

3)小設備容量・高シェア「原子力高度依存国」

さほど経済規模は大きくないが資源エネルギーの選択肢が限られており、原子力開発を世界に率先して進めてきた結果、設備容量は10GW未満にもかかわらず原子カシェアが30%を超える国。

(例)スイス、フィンランド、ベルギー等の欧州諸国、ハンガリー、スロバキア、ブルガリア等の東欧諸国

4)小設備容量・小シェア「原子力新興国」

設備容量10GW未満で原子力シェアも30%未満であり、これから原子力開発を本格化する可能性のある国。

(例)中国、インド、台湾、ブラジル、メキシコ、パキスタン等

 

・原子力発電の新設を一貫して積極的に推進している各国

  ――フランス、ロシア、日本、韓国、フィンランド

図2−1の第1象限「原子力大国」に含まれる3カ国、及び第2象限「エネルギー大国」のうちドイツ以外の国はいずれも、商業用原子力発電所を導入以来一貫して、原子力発電を国の基幹電源と位置づけ、エネルギー政策の上でも強く推進してきた国である。

 

・2000年代に積極的に推進に転じた国

  ――米国、英国、イタリア

図2−1の第2象限「エネルギー大国」カテゴリに属する国は2タイプに分類できる。世界の先端を切って原子力を導入し、現在に至るまで積極推進方針を維持、世界有数の原子力設備容量を有しながらも、それ以上に経済規模が大きいため相対的な原子力比率が低い国と、1960〜70年代前半頃までは世界の先端を切って原子力を導入し、まとまった設備容量を蓄積したが、その後の電力市場停滞や天然ガス火力発電の普及により積極的開発方針を止めたため、相対的なシェアが低下した国である。前者の代表はロシア、日本であり、後者の代表は米国、英国、カナダであろう。

 

・脱原子力政策を見直す動きのある国――ドイツ、スウェーデン、スペイン、ベルギー

これらの国々はいずれも比較的早期に原子力の商業利用を達成し、技術水準も成熟段階にある点、にもかかわらず原子力の新規開発が停滞してきた点において共通している。特にドイツではグンドレミンゲン、リンゲンKWL、ラインスベルクなど1960年代からすでに数基の商業用炉が営業運転を開始しており、また国内にはUrencoのウラン濃縮施設も存在するなど、世界でも有数の原子力発電所の運転及び核燃料サイクル技術水準にありながら、1990年代後半から脱原子力を巡り激しい政策論争が続けられてきた。その背景には、早期に十分高い原子力シェアを確立した、あるいはコスト競争力のある他電源が十分に確保されたことにより、あえてそれ以上の開発を行う必然性が無かったことが挙げられる。

 

急激に存在感を増す新興国――中国、インド、中東、東アジア

・原子力本格導入の歴史がまだ浅く今後の発展が期待される国

中国、インド、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン等

・周辺諸国との政治的関係等から早期に原子力を導入したものの、その後のエネルギー状況から原子力が基幹電源となるには至っていない国

台湾、パキスタン、オランダ、ルーマニア等

・中国・インド両国の今後の原子力発電所新設計画は非常に意欲的である。中国のメディア新華社通信が2010年3月23目、国家エネルギー局のコメントとして伝えたところによると、国家エネルギー局では2020年に原子力発電設備容量を70GWから80GWとし、2030年には160GWとする目標を掲げているとされる。1基125万kWとしても、平均6基/年のペースで建設する計算となる。

 

その他の新興国(中東・東南アジア)

2030年に向けた世界の原子力発電市場を展望するにあたり、商業用原子炉を有する国が現在の30カ国から何ヵ国に拡大するのか、それらの新興国でどのような原子炉が必要とされていくのかも大きなポイントである。原子力発電といえば大容量電源であり、―基の容量も最新型では最大170万kW程度となっているが、今後は大容量送電線のない地域・需要の少ない地域にも適用可能な中型・小型炉という選択肢もある。更に、固定電源としてだけでなく、浮遊式の移動原子炉、水の乏しい地域での淡水化、寒冷地での熱供給、燃料用としての水素製造など、多様化した用途での拡大も期待されている。

 

中東、東南アジア、北アフリカ、オセアニア、中央アジア等、原子力発電導入を検討中の国における多種多様なニーズの的確な把握、及びそのニーズに合致した経済性のある革新型炉の開発は、すでに各プラントメーカーで進められている。南アフリカの電力会社ESCOMとWestinghouse等が開発してきたPBMR、東芝の4S、三菱重工業とArevaのJVであるATMEAで開発中のATMEA−1などがその例である。新興国の中でも電力の大消費地では依然としてすでに実績のある大型炉の必要性が高い一方、原子力の持つ技術的特性はより多様なニーズにも対応し得るものであることを指摘しておきたい。

2へ続く

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電力ビジネスの公益性
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 2−2

電力ビジネスの新潮流 桑原鉄也著 を読む 2

エネルギー・フォーラム 2008年7月8日初版第1刷

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 74

 

 本書を買ってから長い間本棚に眠らせたままだった。3.11のこともありもう読むことは無いかも知れないと思っていたが、最近のニュースを読むにつけて潮流の本筋は変わっていないのではないかと思えるようになってきた。シェールガスやトリュウム原発のこともあり潮目は変わってきたかも知れないが、満潮・干潮の差でしかないように思えて本書を手にしました。

 

 日本の成長戦略の重要課題の一つはエネルギーコストの問題です。国民の暮らし、産業のすべての領域において影響力は大きい。再生可能エネルギーにおいてもコストの点での競争力がなければ需要は伸び悩み、投資は遠ざかっていく。消費は投資の結果なので、消費は伸びない。電気料金の値上げは成長の足かせとなる。安全で環境に優しく、廉価なエネルギーを実現するためのエネルギー革命が早急に求められている。

 

毎日新聞 20130429日 大阪朝刊

特集:関電が来月、家庭電気料金値上げ 生活直撃、月457円増

関西電力は5月1日、家庭向け電気料金を平均で9・75%値上げする。東京電力福島第1原発事故以降、全国の原発が相次いで停止する中、原発への依存度が高い関電は代替の火力発電の燃料費が膨張、値上げしないと巨額赤字を解消できないとの立場だ。値上げは家計を直撃するだけに、あの手この手の節電や電気料金の抑制策にも注目が集まりそうだ。企業向け料金は4月1日から値上げされており、中小企業はコスト増に苦慮している。【久田宏、宇都宮裕一、鈴木一也】

 

第2章では電気事業の制度改革により「顧客の求める品質を損なわずに電気料金の値下げが実現した」というところまで紹介した。

・・・

第3章は、「環境意識の高まりと電カビジネス」と題し、人類存続への喫緊の課題として注目が高まっている地球温暖化問題の動向と、わが国における地球温暖化問題への対応、発電時にCO2を発生しないことから、温暖化対策の切り札として脚光を浴びる原子力発電の位置付けおよび課題などについて解説する。

 

・環境を保護するための規制手法

 1 キャップ

 2 ビグー税

 3 トレード

 

・京都議定書

「環境」というテーマで、ここまで広く世界的な合意がなされたことはなかった。

疑問点

議定書の目標が達成されても、世界全体のGHG排出量は2%しか減らない。

世界最大の排出国である米国が離脱。途上国には排出削減義務が課せられなかった。

 

・地球温暖化に対応する電力ビジネスの技術

「ヒートポンプ」

「電気自動車・プラグインハイブリッド車」

「二酸化炭素回収・貯留技術」

 

原子力発電と環境問題

・放射性廃棄物の処分にあたっては2005年の「原子力政策大綱」に以下のとおり考え方の原則が示され、それに基づいて検討が進んでいる。

 1.発生者責任の原則

 2.放射性廃棄物最小化の原則

 3.合理的な処理・処分の原則

 4.国民との相互理解に基づく実施の原則

・高レベル放射性廃棄物

 2000年5月に制定された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」により、深度300メートル以上の安定した地盤に「地層処分」されることとなった。しかし、処分地の選定については、事前の地層調査の候補地も決まっていない。原子力発電所が「トイレなきマンション」と揶揄されるのは、最終処分地が決まっていないことによる。

・低レベル放射性廃棄物

「余裕深度処分」「浅地中ピット処分」「浅地中トレンチ処分」

・低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ヶ所村)

TRU廃棄物の問題

 原子番号がウランより大きいネプツニウム、アメリシウム、キュリウム等の天然には存在しない原子を含んでいる。

 

第4章は、「エネルギー価格高騰下における電カビジネス」と題し、資源エネルギーの国際的な争奪戦の激化と、その中でわが国の電力ビジネスが抱える課題やそれらへの対応について記述する。資源ナショナリズムの高まりや、中国・インドといった新興国の著しいエネルギー需要の増加により、国際資源市場の需給状況が悪化する中で、ここでも「準国産エネルギー」である原子力への期待が高まっている。

 

原油をはじめとしたエネルギー価格は不安定な動きをする

・新興国の趨勢的な需要伸長予測、厳冬など季節要因による需要増加、もしくは産油国の協調による減産、油田・製油所の事故等による供給力の減少といった事象が起こった場合、変動幅が需要・供給量全体に占める割合は小さくても急激に価格が上昇することになる。

・先進国も含めた資源争奪戦

・資源所有国による資源囲い込み「資源ナショナリズム」

 

2006年「新・国家エネルギー戦略」

一次エネルギー自給率が4%(2005年度‥原子力を除く)とエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っているわが国にとっては、エネルギー価格の高騰は経済活動全般に影響を及ぼす大きな問題である。

 2006年5月、経済産業省資源エネルギー庁は、「新・国家エネルギー戦略」という中長期ビジョンを公表した。そこでは、「国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立」を大きな目標として、エネルギー需給構造の変革、資源外交の強化、備蓄制度等の見直しによる緊急時対応策の充実を目指し、2030年までに左記の5つの数値目標を掲げている。

・少なくとも30%エネルギー効率を改善する。

・一次エネルギー全体に占める石油依存度を、40%を下回る水準に下げる。

 ・運輸部門における石油依存度を80%程度に下げる。

 ・原子力発電の発電量比率を30〜40%程度以上にする。

 ・自主開発原油取引量比率を40%程度に引き上げる。

 これを踏まえた政策の方針については、省エネルギーの推進、新エネルギーの普及促進、原子力立国計画、エネルギー資源確保のための総合的な国家戦略等多岐に及んでいる。実現可能な具体策(法案や投資内容等)にまで踏み込んだものではないが、政府として、エネルギー安全保障を国家レベルの問題であると強く認識し、官民が緊密に連携して取り組んでいかなければならないという危機意識を顕したことに意義があるのではないだろうか。

 

わが国の石炭火力発電所は高い燃料効率を誇っており、また排気を浄化する脱硫・脱硝・脱炭技術等のクリーンコールテクノロジー(CCTClean Coal Technology)が駆使されている。米国・中国・インドの石炭火力発電所をわが国の最新鋭石炭火力発電所並みの燃料効率に引き上げることができれば、それだけで10億トン前後(わが国の年間総排出量の約8割)ものCO2排出が削減できると試算されている。わが国の電力ビジネスは、こうした技術を新興国へ移転することによって、資源エネルギー問題を解決し自らのエネルギーセキュリティを高められるだけでなく、地球環境問題の解決にも大きく貢献することができるだろう。

 

・2000年小売部分自由化時に導入された「燃料費調整制度」

そもそも「他の産業では燃料費高騰分の価格転嫁がなかなかできないのに、エネルギーだけ容易に転嫁できるのはおかしい」という制度自体への批判もあり、制度見直しによって、もしくは(同制度が適用されない)自由化範囲の拡大によって、燃料費価格の料金への転嫁は困難になるかも知れない。電力ビジネスにとって、化石燃料価格の高騰は今後さらに大きなリスク要因となりうるだろう。

 

原子燃料の調達

・とはいっても、国内にウラン鉱山があって原子燃料を自給できているわけではなく、燃料の天然ウランは現在全量を輸入に頼っている。

・天然ウランの購入費用は発電費全体に占める割合の10%にも満たない

・原子燃料は、一度装てんすると一年程度利用できること、再処理によって再び利用できることなどから、「準国産エネルギー」として位置づけられている。わが国の一次エネルギー自給率は既述の通り4%程度であるが、原子力を含めると20%程度になる。これらのことから、わが国のエネルギーセキュリティに対して原子力の果たす役割は非常に大きいと考えられているのである。

・ウラン濃縮技術は各国独自のノウハウがあり、技術開発競争も盛んである。

・原子燃料サイクル

 軽水炉でプルトニウムを含んだMOX燃料を燃やすことには一部に抵抗もあるが、そもそもプルトニウムは軽水炉内で生成されて燃焼していること、フランスやドイツ等欧州を中心にMOX燃料の使用実績が多数あることなどから、今後わが国でもMOX燃料の利用は進んでいくものと考えられる。

 

新しいエネルギー

・オイルサンド(およびオイルシェール)

・メタンハイグレード

化石燃料ではない「新エネルギー」

・太陽光、風力発電、バイオマス燃料

問題点――エネルギー密度が低い。発電時の出力が安定しない。

 

第5章

・・・わが国電力ビジネスもまさに様々な経営環境変化の下で短期的には収益確保・利益向上および資本市場対策、長期的には安定供給と地球環境問題への対応、さらには企業価値創造のモデル確立という多くの課題に同時に向き合わなければならない位置にいる。

 こうした経営の多元化、複合化は、設立以来「事業基盤確立→電源開発→公害対策→石油危機への対応(脱石油)→自由化対応(財務圧縮と効率化)」といった経営の中心課題が比較的明確な時代が長かったわが国電力ビジネスにとって新しい経験といえる。

 

第6章では、「世界の電力ビジネスの新潮流」と題し、世界各地での電力ビジネスに関する最新動向を紹介している。2007年7月の第三次EU指令案でさらなる電力自由化進展を目指すかに見えるEU、カリフォルニア電力危機以降自由化が停滞し、「再規制」の動きすら見られる米国の動向の他、世界各地で広がる「電力ルネサンス」の流れと電力ビジネスにおける投資ファンドの動きについて取り扱う。

 

『グローカル』

・電気という財は、世界中のどこであっても同じように利用されている財でありながら、実際には送電線というネットワークの通じているローカルな範囲でしか取引できない。そのため、世界的な環境変化に左右されながらも、個々の国や地域独自の事情に合わせたルールで運用されているのが電力ビジネスなのである。

・電力を含む公益事業に対する外資の参加や他地域に本拠を置く企業からの買収は、たとえそれが効率化をもたらす可能性があるとしても、ローカルな立場の国・地域当局や地元の住民にとっては歓迎されにくい。こうした中で、電気事業制度もより「公益的な」視点を重視したものとならざるをえないだろう。

・電力ビジネスは、「決して無視できない世界的な環境の変化」にいかに対応し、その変化によって「無視できない影響を受ける国や地域」にいかに貢献するかが問われるビジネスである。

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電力ビジネスの潮流
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 2−1

電力ビジネスの新潮流 桑原鉄也著 を読む 1

エネルギー・フォーラム 2008年7月8日初版第1刷

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 73

 

FNN フジニュースネットワーク www.fnn-news.com

5月2日 06:19 にこのような記事がありました

 

安倍首相、UAE・アブダビ皇太子と会談 原子力協定の締結を確認

ロシア・中東を歴訪中の安倍首相は、3つ目の訪問国となるUAE(アラブ首長国連邦)で、ムハンマド・アブダビ皇太子と会談し、原発など原子力に関連する輸出の前提となる協定を締結することを確認した。
福島第1原発の事故から2年余り、安倍首相は、停滞していた原発など原子力技術の輸出を再開する方向に、大きくかじを切った。
会談で安倍首相は、ムハンマド皇太子に対し、「日本は、UAEのエネルギー政策に貢献可能だ」と強調し、原発や原子力関連技術などの輸出の前提となる原子力協定を、3日、正式に締結することを確認した。
また、安倍首相は、原油などの安定的供給を要請したほか、2020年のオリンピックの東京招致に協力を求めた。
さらに両者は、日本からUAEに、食品・医療・インフラなどを輸出するほか、安全保障対話を新たに始めることで合意するなど、経済外交を進めるうえで、中東の安全保障を重視する姿勢を鮮明にしている。

・・・

 日本は再び原子力推進に大きく動き始めた。これから電力事業はどう有るべきなのか? 3.11までの電力ビジネスを概観することで、何かが分かるかもしれない。その意味で本書は貴重な存在となっている。電力ビジネスの推移がとても分かりやすい。今の私達の暮らしを思うと電力の存在のいかに大きいことだろうか。冷静な議論が求められる。電力の現場にいる人の論に耳を傾けてみよう。

・・・

〈著者略歴〉

桑原鉄也(Tetsuya Kuwahara)

学習院大学特別客員教授(関西電力東京支社付出向中)

1970年兵庫県生まれ。1993年京都大学経済学部卒業、関西電力入社。

購買室、企画室、秘書室等で勤務。

2000年京都大学大学院経済学研究科修士課程修了(経済学修士)

 

〈第5章分担執筆者略歴〉

西村陽(Kiyoshi Ni8himura

大阪大学大学院工学研究科客員教授(ビジネスエンジニアリング専攻)、

関西電力企画室・秘書室マネジャー。

1961年富山県生まれ。

1984年一橋大学経済学部卒業、関西電力で調査、戦略、環境等を担当

19992001年学習院大学特別客員教授。

主著に『電力改革の構図と戦略』『電力自由化完全ガイド』『検証エンロン破綻』『電力のマーケティングとブランド戦略』『エナジー・エコノミクス』『にっぽん電化史』など多数。

・・・

本書概略を「はじめに」の叙述にそって本章の論述も少し加えてみたい。

 

日本の電力会社は「世界トップクラスのクリーンな電力を安定的に」供給してきた。

「年平均停電時間」「キロワット時あたりCO2の排出原単位」

という指標で世界トップクラスのパフォーマンスを発揮。

 

2007年4月から、現行の電気事業制度を検証し、今後の自由化制度設計を検討するための電気事業分科会が再開された。2008年3月に出されたその答申。

・・・「安定供給」、「環境適合」、「競争・効率性」という三つの政策的課題は、いずれかを犠牲にして他を追求するものではないという観点から互いに排他的なものではなく、市場メカニズムと規制等を適切に組み合わせて、三つの課題の同時達成を図っていくことが必要。

 

電気は単なる「コモディティ」(市場取引される一般的な商品)ではない。

 

第1章、「電力ビジネスの最新トピック」と題し、第2章以下で示す各章のテーマについて近年の動きを端的に示すようなニュースを個別に取り上げ、各章のイントロダクションとしている。

「電気事業制度」(第2章)に関しては、前回の制度改正で設置された卸電力取引所(J

EPX)の取引状況

「地球環境問題」(第3章)に関しては、インドネシア・バリで開催されたCOP13で策定されたバリ・ロードマップ

「資源エネルギー問題」(第4章)に関しては2008年1月に1バレル=100ドルを突破した原油価格

「電力経営」(第5章)に関しては、東京電力・中部電力の通信事業売却

「世界の電カビジネス」(第6章)については、2007年6月にEU委員会が発表したEU電力指令案を取り上げる。さらに各章で言及されている「原子力発電」に関し、新潟中越沖地震で停止した東京電力の柏崎刈羽発電所について記述している。

 

・電力自由化の目的は、「取引所取引量の増加を目指す」ことではなく、「実効的な競争環境を創り出すことで、電力の利用者である国民に利益をもたらす」ことである。2008年3月の電気事業分科会答申で大きなテーマとして示されたように、「競争環境の整備」を通じた取引所取引の増加によって、電力会社とPPSがより実効的な競争を行っていくことが期待されるところである。

 

・京都議定書の削減目標達成に向けた様々な手法が検討されているが、そのような議論の中では時として、理念先行であったり、世論からの受けがよい政策が強く主張されたりすることがある。そういったポピュリズムに陥らず、客観的な「計測・報告・検証」によって温暖化緩和策を評価する枠組みを作っていくことは非常に重要であり、実効性重視の面からセクター別アプローチを主張するわが国産業界にとっても、このことは大きな意味を持っている。

 

・原油価格の高騰、世界的なエネルギー資源の需給逼迫によって、石炭や天然ウランの価格も急騰している。今後もこれらのエネルギー資源価格は高止まりすると考えられるため、石炭火力発電、原子力発電でもコストは上昇する可能性が高い。

 

・原子力発電所の安全は常に国民の厳しい目に晒されており、対応上の少しの齟齬が大きな影響を及ぼすことになる。

 

・長い間「保守的で横並び意識が強い」と見られてきた電力会社の事業方針が、自由化を契機にかなり各社ごとの特徴を持つようになってきた。激しく変化する環境にいかに対応するか、新規参入者も含めた電力ビジネスの経営がさらに複雑化、困難化していくことは想像に難くない。

 

・電力のような設備産業では一般的に規模の経済性が働きやすい。しかし電力市場の独占(寡占)の弊害もある。

 

第2章は、「電力自由化の変遷と現状」と題し、自由化以降の電気事業制度の変遷について解説する。「完全ガイド」にも詳述されている現行自由化制度を概説した上で、現行制度の問題点等を踏まえて行われた2007年からの電気事業分科会での議論、および分科会答申の内容を中心に取り扱う。

 

規制下の電気事業

・・・米国では共和党レーガン政権のレーガノミクス、英国では保守党サッチャー政権のサッチャリズムによる大幅な自由化・規制緩和政策が打ち出された。電気事業も規制緩和の対象となり、1990年代には、実際に米・英・北欧などで自由化が進展し始めた。

 同じく1990年代、バブル経済が崩壊し閉塞感が強まる日本経済においては、高コスト構造が問題視され、その是正が大きな諜題となっていた。海外よりも料金が高く、日本の産業競争力を弱めていると見られていた日本の電気事業において、自由化の機運が必然的に高まってきたのである。

 

1995年第一次制度改革

 電気事業にとって最も大きな変化であり、その後の自由化の方向性に最も影響を与えたのは「卸供給事業者制度」。電力会社および卸電気事業者(電源開発等)以外の発電事業費を入札によって決めることにより、独立系発電事業者(IPP)の新規参入促進が図られた。

 

2000年3月第2次制度改革で小売の自由化が実施。

 

・「公益性」の論点・・・長期安定供給や供給信頼度の維持・向上、原子力発電の推進を含む長期的なエネルギーセキュリティの確保、優れた環境特性の実現、離島なども含めたどの地域でもほぼ同じ価格で電気が買えるようにするユニバーサルサービス、さらには家庭等小規模顧客の保護といった、電力会社がこれまで単独で担ってきた要素を市場メカニズムの下でいかに扱うかという問題。

 

2003年2月第3次制度改革

 

・送電部門の中立性を担保するために、欧州ではEU委員会が送電部門を別会社化するよう指令を出し、米国ではいくつかの地域で系統運用を独立した別組織とするISO (Independent System operator=独立系統運用機関)を設立させた。それに対してわが国の「中立機関」は、送(配)電機能と系統運用機能を既存電力会社に残して、それらに関するルール策定や運用の監視のみを競争者や中立者(学識者)も交えて別組織化したものである。欧米の自由化の現状を踏まえて、電気の財としての特質やわが国電気事業の特徴(他国とネットワーク接続がなされていないこと等)から「発電設備と送電設備の一体的な整備・運用」が必要とされたことを受け、このような「日本的自由化」施策がなされたのである。

 

第4次制度改革に向けて―2008年3月電気事業分科会答申―

日本型電力自由化の評価と展望

 

・いち早く全面自由化が進んだ米国の一部の州や、送電部門の分離を強制し業界再編が進んだ欧州に比べ、わが国の電力自由化は「大きな動きはなく進展が遅い」と考えられがちである。しかし、1995年に電力自由化が始まって以来、わが国の電気料金は断続的に下がっている。例えば、東京電力の家庭用料金は標準家庭で月7010円→6269円となっているし、小売自由化後の特別高圧業務用需要家の平均単価は、17・03円/キロワット時(2000年4月〜6月)→12・28円/キロワット時(2007年10月〜12月)と大幅に下落しているのである。自由化先進地域の欧州で、自由化後電気料金が上昇傾向にあるのとは対照的である。また、北米のいくつかの箇所で起こったような「大停電」も発生しておらず、供給信頼度は非常に高く保たれたままである。

第一次制度改革当初の最大目的が「(わが国全体の)高コスト構造是正」であることに鑑みると、その目的を「顧客の求める品質を損なわずに実現した」こととなり、このことからわが国は「電力の規制改革に成功した稀有な国」と考えることもできよう。

 

「新たな日本型電力自由化制度」の設計が必要。         2に続く

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デフレファイター
 

経済書(新書を中心に)100冊を読む 1

アベノミクスのゆくえ 片岡剛士著 を読む

光文社新書 2013420日 初版1

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 72

 

 私達庶民にとってはアベノミクスであろうが何であろうが、生活が楽になれば良いのです。真面目な貧乏人を困らせないような政治をお願いしたい。ところが、テレビを観ていても新聞を読んでも、なぜか、どこかはぐらかされているように思える。とりあえず、最近出た新書を片っ端から読んでみますか。今後どうなるのか? どのような政策が必要なのか? という将来的なことを中心に読んでいきたい。ということで「アベノミクスのゆくえ」を始めに選んだ。

 

 本書はとても勉強になります。どれほど勉強になるかといえば、ポンと膝を打つ「なるほど!」というほど勉強になります。

 本書の概略とプロフィールを紹介しましょう。

 

 本書のサブタイトルは「現在・過去・未来の視点から考える」となっている。本のカバーにはこう書かれている。

・・・ 

アベノミクスとも言われる「大胆な」金融政策、「機動的な」財政政策、「民間投資を喚起する」成長戦略の3つの経済政策への期待感は、現在、将来の予想が重要な材料となる株式市場や為替市場の活況という形で表れている。

一方で、例えば「大胆な」金融政策は、長期金利の急騰や行き過ぎたインフレをもたらすのではないか、結局賃金上昇という形で国民に恩恵が行き渡らないのではないかといった不安の声も聞こえる。

このような期待と不安が入り混じる現状において、アベノミクスをどう評価すればいいのか?

気鋭のエコノミストが、アベノミクスを支える“3本の矢”の現状評価と今後のゆくえを、精緻な分析によって論じる。

・・・

片岡剛士(かたおかごうし)

1972年愛知県生まれ。慶応義塾大学大学院商学研究科修士課程(計量経済学専攻)修了。三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員。専門は応用計量経済学、マクロ経済学。著書に『日本の「失われた20年」――デフレを超える経済政策に向けて』(藤原書店、2010年、第四回河上肇賞本賞受賞、第二回政策分析ネットワークシンクタンク賞受賞)、『円のゆくえを問いなおす−実証的・歴史的にみた日本経済』(ちくま新書、2012年)がある。

・・・

はじめに、で本書の構成が概略されている。それに少し本章から付け加えてみます。

 

第1章では、日本経済の現状を特徴づける7つのポイントを明示しつつ、これらの検討を通じて日本経済の動向を概観しています。

 

日本の経済の現状をまとめる7つのポイント

1)マイルドかつ持続的なデフレ

2)円高トレンドの持続

3)失業率の高止まり、名目賃金の停滞

4)深刻化する不況と回復の弱々しい好況

5)財政赤字・債務負担の深刻化と、将来の増税可能性の高まり

6)少子高齢化の本格化

7)東日本大震災の影響

 

第2章では、本書の軸となる日本経済を考える際のフレームワーク、つまり3つの政策手段(経済安定化政策、成長政策、所得再分配政策)、3つのステージ(政策決定過程)、3つの時点(過去、現在、未来)の組み合わせからなる分析枠組み(3×3のフレームワーク)を提示して、それぞれについて解説を加えています。

 

3×3のフレームワーク

・3つの政策手段 

 経済安定化政策 成長政策 所得再分配政策 

・3つのステージ

 情勢の把握 政策の選択・実行(財政・金融・成長) 効果の発現

・3つの時点

 過去(フロー市場)・現在・未来(ストック市場)

という3つの時点で起こる経済活動と貨幣的な現象

 

第3章では、「過去から考える日本経済」と題して、第2章で提示した分析枠組みを援用し「失われた20年」とも呼ばれる長期の経済停滞の経緯・原因を分析しながら、それがどのような形で日本経済の長期停滞につながったのかを整理しています。

 

「デフレレジーム」と3×3のフレームワークに長期停滞の解釈(第3章のまとめ)

「デフレを伴う長期停滞の進行に最も影響したのは、不十分な金融政策。」

173p〜

・・・デフレと円高は、フロー市場とストック市場に作用しつつ、総需要を停滞させることで長期停滞をもたらしました。デフレと円高という貨幣的現象に大きく影響したのは政策のミスですが、デフレが続くのは仕方のないことであり、デフレに対して金融政策は大した効果をもたらさないという「デフレレジーム」が、失敗が失敗の連鎖をもたらす中で、政策担当者のみならずメディアをも巻き込む形で強固なものとなっていきます。

176p

・・・リーマン・ショック時の日銀の政策対応は、その後の超円高につながりますが、円の独歩高が続く中で「ドル安・ユーロ安が超円高の原因である」という本末転倒な議論も、日銀の“無謬性”を強化することにつながります。“無謬性”の強化は、日銀自らが物価安定目標を定義し、目標達成の判断も自らが行うという形で進みました。これは、改正された日銀法(後述)も一因として挙げられます。さらに、「デフレは構造的要因である」「デフレは人口減少が原因だ」といった議論は、物価安定に責任を持つ日銀にとって、自らの政策手段で容易に解決できないのが現在のデフレだという立場をより強固なものにすることができます。

 

失敗が失敗の連鎖「3つのステージ、3つの政策手段、3つの時点のそれぞれが機能不全を起こすことで、失敗が失敗を生む悪循環が生じたということです。」

 

「悪循環を逆転させる」

 

第4章では、「未来から考える日本経済」と題して、安倍政権の経済政策(アベノミクス)の特徴の整理や、第3章で得られた知見を活かして、アベノミクスが日本の長期停滞を脱するための起爆剤になりうるか、そうであれば何か重要となるのかという点について批判的に検討を加えています。

 

・3つのステージを統括する「統一的な戦略策定部門」を設置する。

 なぜなら、3つのステージの運行の悪循環が長期停滞に悪影響を与えた要因の一つは、複数の政策決定主体が分権的に情勢認識をして、それぞれの思惑に洽って政策を行ってしまったことにある。

・アベノミクスは1本の矢(リフレ政策)

 アベノミクスにおける「大胆な」金融政策は、「機動的な」財政政策や「民間投資を喚起する」成長戦略を適切に作動させるための必要条件である。

 「大胆な」金融政策が崩れれば、アベノミクス自体が瓦解する可能性が高まる。

 「金融政策の変更と政策レジーム(デフレレジーム)の変更」

・フロー市場とストック市場の齟齬が生み出す経済変動を安定化させることが必要

・第二次安倍政権の経済政策における最大のリスク要因は、所得再分配政策の軽視

 

・インフレ目標政策

1)  数値目標の設定(例えば2%という明確な数値の設定)

2)  達成期間の明確化

3)  数値目標の設定と達成期間の決定の区別

4)  説明責任

5)  動学的整合性(あらかじめ約束した条件を満たすように、実際の政策が行われること)の5つの特徴を満たす政策です。

 

・リフレ政策による株価上昇

予想インフレ率が上昇することで、企業の名目の将来収益の流列が向上することによる株価の上昇は、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した株価の上昇であって、バブルではありません(岩田規久男(2001))。

 

・政府と日銀が締結すべき政策協定

1)「金融政策」について政府と日銀が締結する政策協定とすること

2)国民からの信任を得た政府の責任において物価上昇率の目標値を2%と定めること

3)日銀は政策手段に関する独立性のもとで目標を達成するために金融政策を行うこと

4)目標値の達成期限は2年間とすること

5)日銀は展望レポートの公表、国会における説明責任の義務を負うこと

6)あわせて経済財政諮問会議で質問を受けた場合には、物価動向と金融政策について説明を行う義務を負うこと

7)首相と日銀総裁の連名で公表すること

 

・アベノミクスにおける金融政策の3つの前進。

 1つ目の前進は、これまで日銀が採用しなかった2%のインフレ目標がセットされたことです。これは、先進諸国と同じ目標物価上昇率を採用したことを意味します。

 2つ目の前進は、「大胆な」金融政策実現のために、リフレ政策の長年の主導者だった岩田規久男教授が副総裁に、かつ財務省出身者で国際経験豊富な「リフレ派」である黒田東彦が総裁に就任したこと。

 3つ目の前進は、アベノミクスを支える重要な会議である経済財政諮問会議で、日銀の「デフレフアイターぶり」が定期的にチェックされることです。

 

・今後「大胆な」金融政策実現のためには何が必要となるか。

1)基準となる物価指標の明示や展望レポートの変更・修正

2)オープンエンドの金融緩和策

3)日銀法改正

・政府は、日銀の行動をサポートするために日銀法を改正し、政府と日銀の役割が混在している共同声明の内容を書き換えて、金融政策について政府と日銀の役割を明確化した政策協定(アコード)を結ぶことが求められます。

 

・現在の日銀法の4つの問題点

1)  日銀が何を行う機関かという「目的」が不明瞭

2)  「国民経済の健全な発展」や「物価の安定」といった言葉に、明確な定義がない

3)  日本銀行の自主性の尊重及び透明性の確保について述べた第三条と、政府との関係について述べた第四条の「十分な意思疎通」とは何かが不明

4)  第25条で規定されている役員の身分保障について

 

・景気の下支えとして見た場合の公共投資には、大きな効果は期待できない

・「マイナンバー制度とセットで給付付き税額控除の枠組みを作る」「定額給付金」「社会保険料の減免」といった減税策の実施が必要

 

・消費税増税は駆け込み需要と反動減という形で、消費の変動を増幅させます。また、可処分所得を低下させることを通じて消費を低下させます。さらに、家計の所得制約に影響を与え、それは住宅投資の下落につながります。

・97年時点と比較してより明瞭な形で悪影響が表れると考えられる。

・財政政策における最大のリスク要因は消費税増税

 

・増税よりも優先すべきは、デフレの現状から総需要の増加を伴う形での2%の安定的なインフレ率に復帰すること。

・インフレ目標政策でなく、名目GDP水準目標政策に踏み込むこと

・必要なのは「成長戦略」ではなく「成長政策」

TPPがデフレを促進させることはない

・電源構成の急速な転換を行えば、経済的なコストが高まる

・ユーロ危機にも注意が必要

 

 以上が本書の概略です。3×3のフレームワークを学んだことは、私にとって大きな収穫だった。皆さんも本書を読んで是非に学んでみてください。本書を読んでいて日銀法が改正される必要を感じましたが、このようなニュースが気になりました。

 

[東京 25日 ロイター] 菅義偉官房長官は25日午後の会見で、今あらためて日銀法を改正する必要はないとの考えを示した。日本維新の会とみんなの党が日銀法改正案を国会に提出したことに関連して、官房長官は「(日銀は安倍晋三首相の)期待に応えるように大胆な金融緩和を政策決定会合で決定している。今、あらためて日銀法改正をする必要はないのではないかと現時点では思う」と述べた。

 

「おわりに――アベノミクスのゆくえ」で「大胆な」金融政策が実行され、実際に2%インフレが達成された場合の不安はあるか、という項目があります。

 ここもしっかりと読んでおきたい。「アベノミクスのゆくえ」という、歴史的な社会実験の中にいる私達が、目撃者となるのです。

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大躍進 植草一秀 を読む 権謀術策
 

金利・為替・株価 大躍動 植草一秀 を読む

2013年4月1日 第1刷発行

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 71

 

 植草一秀といえば痴漢冤罪事件で可哀相な目にあった人です。彼の「現代日本経済政策論」(2002年度第23回石橋湛山賞)は抜群に面白かった。テレビでの討論でも他者を寄せ付けない秀才ぶりは光っていた。私は現在の彼の政治的な立脚点とは異なりますが、TPPは日本経済を成長させない、対アジア主戦論こそが未来的な選択だと私は考えているので、植草には親近感があります。そして私は、政治は驚くほど嫉妬深い人達が多いことも経験していて、その仁義なき戦いぶりも知っていて、それを利用する財界や官僚たちの姿も見ています。だからこそ植草の「真実」も理解できるところがあります。しかし、私は小沢を支持することは出来ない。前回選挙で嘉田由紀子を担ぎ出したのには驚いたが、所詮、水と油であった。環境問題は長期的な経済成長にとっても必要不可欠なもので有るだけに、嘉田の環境への取り組みには賛同できる点が多かったので、複雑な思いを残す結果となってしまった。私は権謀術策が大嫌いだ。

 権謀術策といえば「売国者たちの末路」(副島・植草対談 祥伝社)にこのようなことが書かれていた。

93p〜

植草 副島さんが出演した「ウェークアップ!」という番組には、私も縁があります。この番組は土曜の朝の放送で、生放送でしたよね。まさしく、りそな銀行の処理策が発表された2003年5月17日、私はこの番組に出ていました。

 私が「もし、りそな銀行を破綻させるという方針で動くのであれば、株主責任を当然問わなければならないので大問題になる。週明けの株式市場は、混乱に見舞われる危険性が大きい」と発言したところ、番組中に金融庁から電話が入ったのです。その結果、「政策当局がりそなを救済する。万全を期すので混乱は起きない」という修正放送になりました。

 その後、竹中PTの木村剛氏と、テレビで2度ほど直接対決がありました。私が木村氏と対立したのは次の点です。

 金融行政の大原則が「責任ある当事者に対する責任をとらせる」ということであれば、最初に問われるべき責任は株主責任です。しかし、りそなの処理では株主責任をまったく問わずに、単に経営者だけを替えた。ですから「経営者を入れ替えて、政府に近い人をりそなに送り込むだけで済ますのはおかしい」という話をしました。

 それから「りそな処理の前後にかかる売買記録について、証券取引等監視委員会が調査に入るべきだ」と執拗に主張しました。2004年夏の参議院選挙に入る時点で考えれば、小泉政権の一連の政策について全面否定する私の存在は邪魔になったでしょう。

94p〜

 植草 いわゆる「ハゲタカ」の問題もあります。日本の株価が暴落し、その後、急回復した時期に最も利益を上げたのは外資系のファンドです。

 2001年から2003年4月にかけて、日経平均株価は1万4000円から7600円まで下げました。この過程で日本経済は戦後最悪の状況に陥り、失業と倒産、年間3万人を超す自殺者が連続します。小泉政権は緊縮財政で意図的に経済を悪化させ、金融波乱を引き起こし、株価も不動産価格も暴落させたわけですが、これは本来、不必要な経済推移でした。

 そのために多くの国民が、まさに地獄に連れて行かれるような被害を被った。一方でその裏側にあったのが、外資系ファンドによる日本資産の買い占めです。

 彼らは暴落した日本の資産を買い漁り、2003年5月のりそな処理を契機にした資産価格急騰で、巨大な利得をあげた。この年の8月18日には、日経平均が早くも1万円台を回復しているのです。単純に言えば、7600円で買ったものを1万円で売ることができる。「濡れ手で粟」とはこのことです。

 小泉政権は不必要な不況促進政策を発動して日本の国民を苦しめ、逆に外資系ファンドにはおいしい思いをさせました。小泉・竹中路線の政策は外国勢力と手を携えたものだと思われます。私はこのことに対しても容赦ない非難を浴びせていましたから、とても目障りな存在だったと思います。

 

植草一秀の『知られざる真実』というホームページを時々覘いてみるのだが、これが結構面白い。インターネット選挙解禁になると、こういった政治的発言をするページは規制されるかも知れない。選挙期間中と限定されるかも知れないが、解禁が規制の隠れ蓑になる可能性も高い。私のブログは幾つかのサイトで公序良俗に反するとしてアップすることが出来なくなっています。それがすべて原発問題であることをお知らせしておきます。

 

 最近の植草一秀の『知られざる真実』の記事で気になったところを少し紹介してみたい。

4月26日

・・・本年7月21日に投開票日を迎えると予想されている第23回参議院通常選挙での争点は3+1+1である。

原発・辺野古・TPP 消費税大増税 憲法 である。

主権者の多くは、

脱原発・辺野古移設阻止・TPP不参加 消費税増税阻止 憲法改悪阻止

の考えを有していると思われる。

安倍政権もこの点は認識していると見えて、この3+1+1を参院選争点から除外する工作活動が展開されている。

これらの主要争点についての基本方針を参院選とは時間的な距離を離して早めにアナウンスしてしまい、参院選まではその論議を封印するとのスタンスが示されている。

安倍政権は参院選までは「円安=株高」の勢いだけで乗り切ってしまおうとの考えで進んでおり、その参院選後の丸3年の時間を使って、日本を根本から改造してしまうことが目指されていると見られる。・・・

4月22日

・・・消費税増税はいまのプランでは、

2014年4月に5%→8%、

2015年10月に8%→10%

このやり方だと、日本経済が最悪の状況に陥るのは2016年前半になる。国政選挙は衆院の解散総選挙がないと、本年7月参院選から2016年夏の参院選まで、丸3年間空白期を迎える。衆院任期満了は2016年12月。したがって、2016年夏の衆参ダブル選の可能性がもっとも高い。

その場合、日本経済が最悪の状況下でダブル選ということになる。これは与党として避けたいところ。そこで浮上するのが、消費税増税時期の丸1年先送りだ。

2015年4月に5%→8%

2016年10月に8%→10%

このやり方だと、2016年衆参ダブルに大きな弊害が出ない。

みんなの党の渡辺喜美氏が党首討論で消費税増税の実施先送りを提案した。安倍氏は参院選前に消費税増税の1年先送りを宣言する可能性がある。すべては、参院選に向けてのキャンペーンだ。参院選に向けては経済一本で進むという話とも整合性が取れる。・・・

 

 消費税増税の1年先送りの可能性は高い。2014年4月に5%→8%、2015年を先送りして、2016年10月に8%→10%という可能性もある。

 ネットニュースを見ていると、国会議員団の靖国参拝に抗議する中国の動きが連日に報じられている。辺野古・TPPと憲法問題が絡んでいそうです。

 

MSN 産経ニュース

尖閣に中国軍機が40機超飛来 「前代未聞の威嚇」 空自パイロットの疲弊狙う

2013.4.27 12:07

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本領海に中国の海洋監視船「海監」8隻が侵入した23日、中国軍の戦闘機など軍用機が40機以上、尖閣周辺に飛来していたことが分かった。複数の政府高官が26日、明らかにした。軍用機は戦闘機が大半で、新型のSu27とSu30を投入。航空自衛隊の戦闘機パイロットの疲弊を狙って絶え間なく押し寄せた。政府高官は「前代未聞の威嚇だ」と指摘している。・・・

 

(大躍動)274p〜

2012年夏の中国における反日デモの拡大。これを契機に反中国、嫌中国の世論形成が誘導されてきた。しかし国民は、本当の事実を知っておく必要がある。それは尖閣の領有権問題が、いまの日本政府が主張するように解決済みの問題ではないという事実である。1971年の沖縄返還協定において、尖閣諸島の施政権は米国から日本に返還されることが決まった。しかしこの時点で米国は、尖閣の領有権が日本にあるとは言わなかった。すでに当時、中国が尖閣の領有権を主張しており、米国は尖閣諸島について、領有権係争地と位置づけたのである。

 既述したように、1972年の日中国交正常化。78年の日中平和友好条約締結の時点で、日中両国政府は、領有権についての主張が対立していることを認識した上で、この領有権問題の決着を先送りする合意を結んだ。いわゆる「棚上げ合意」である。1979年5月31日付読売新聞社説がこのことをはっきりと明記している。

 日本政府は2010年6月に尖閣海域の警備基準を、日中漁業協定準拠から国内法準拠に切り換えた。その結果として尖閣海域での中国漁船衝突事件が発生した。実際は因果関係が逆であろう。尖閣でトラブルを引き起こすために警備基準を変更したのだと思われる。

 背景に日本における反米感情の高まりがあった。この結果として、沖縄での米軍基地建設が暗礁に乗り上げていた。反米色の強い沖縄県知事が誕生する可能性も高まっていた。これらの状況を打開するために、どうしても、日中関係の緊張拡大が必要だったのだと思われる。

 

 どうやら、この時期での国会議員団の靖国参拝にも、政治的な思惑がありそうです。

 日本が財政破綻しそうになったら、大量に保有しているアメリカ国債は売れるのか?という問題もある。ここにもアベノミクスと消費税大増税のカラクリがありそうだ。

(売国者たちの末路)90p〜

植草 日本が引き受けた米国債は、外貨準備に積み立てられます。小泉政権時代、2002年10月から2004年3月にかけての1年半の間に、日本は外貨準備を47兆円も増やしています。現在はおよそ100兆円、1兆ドルの外貨準備がありますが、この時期に47兆円も増やした。

 ということは、日本からアメリカに資金を供給して、その資金でアメリカが安くなっていた日本の株を買ったとも言えるわけです。

 また日本は、100兆円に増加させた外貨準備を今もそのまま放置しています。その結果、たとえば2009年3月に1ドル=95円まで円高・ドル安が進んだ時点で、為替の評価差損だけで30兆円の損失が発生している。

 ドルが下落してドル暴落の危険があるときにドル買い介入するのであれば、反対にドルが持ち直して上昇したときには、外貨準備のドルを売却すべきです。そうしておけば利益も発生するし、外貨準備の残高も減少します。ところが日本政府は一切それをやっていない。

 このことについては、私もいろいろ提言するのですが、おっしゃるように橋本元首相が「米国債を売りたい」という発言をして大きな騒ぎになりました。これはアメリカの“虎の尾”の一つです。

92p〜

副島 橋本龍太郎は、12年前の1997年6月23日に、ニューヨークで「米国債を売りたい誘惑に駆られたことがある」と発言しました。それでそのあと、2006年7月1日に死去するまで、ずっとアメリカから執拗なスキャンダル攻撃を仕掛けられた。

・・・

橋本首相「米国債売却の選択肢もあった」

 6月23日の講演で橋本龍太郎首相が、外貨準備で保有している米財務省証券(短期の米国債)について「売却する誘惑にかられたことがある」と述べた。この発言は米政府に為替安定で協力するよう求めることに狙いがあったとみられる。しかし、売却の可能性の示唆と受け取られ、ニューヨーク株式市場は急落した。ダウ工業株平均はブラックマンデーに次ぐ下げ幅となった。米国債も売られ、ニューヨーク外国為替市場ではドルが売られた。

(読売新聞 1997年6月24日)

・・・

かくして日本の政治状況は極めてアメリカよりになっている。ではアメリカの何が悪いのか? アメリカが問題なのはただ一点、史上最悪の経済帝国主義であることです。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 日本の政治を考える | 10:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
リンカーン 人民という法廷の偉大な判決
 

映画 リンカーン を観る 2

日本をどうする?国民が学ばなければ、政治は動かない。 70

エイブ・リンカーン 吉野源三郎著 童話屋 

リンカーン演説集 高木八尺・斉藤光訳 岩波文庫 を読む

 

 この映画はアカデミー美術賞も取っている。美しい映画なのだが、その光の使い方が抜群に鋭い。中世絵画を思わせる光のデザインは、よく見るとそれはリンカーンと神の対話をイメージしている。それは啓示でもあったりするのだが、リンカーンが静かに神を感じている様子が実に上手く表現されているのも、この映画の見所だろう。

リンカーンのこの言葉を頭の片隅において映画を観ることをお薦めします。

(エイブ・リンカーン)177p

「わたしの心ははがねの板のようだ。ちょっとひっかいたくらいでは、なかなかあとが残らないが、その代わり、いったん、あとがついたら、こんどは容易に消すことができない。」

 本書ではこう続いている。

・・・都会そだちの人びとから見ると、彼は感じのにぶい男に見えましたし、たしかに彼の心は、ものごとに応じて軽快に、しなやかに動いてゆくほうではありませんでした。しかし、彼はものごとをどっしりと深く経験してゆく男でした。心の表面ではなく、魂のしんで経験してゆく男でした。このしんまでひびいてくるほどの経験はめったにありませんが、その代わり、このしんまでしみ通った以上は一生心から消しとることができない思いとなって残ります。

 南方のドレイ州で見たドレイのあのあわれな状態―――彼は、それを忘れてはいませんでした。現在、何十万という人間が、不正を受けて苦しんでいる。一日としていたましい涙の流されない日はない。このことは四十歳のなかばを越えた年になっても、鋼鉄の板に打ちこまれたあとのように、彼の心に残っています。

 

リンカーンの生涯を思うと逆境と試練の人であった。その人生は極貧の中で始まり、まだ幼少の頃に心労困苦で死んでいった母への思いを胸にしまい。その後に姉の遺影を自分の影に織り込んだ。このときの悲しみが、繋がれし者の悲しみと重なったのではないだろうか。リンカーンは西部で開拓者の魂を育て、独学で建国の礎である正義を学び、聖書で慈しみという安らぎを得た。そして、魂と正義と慈しみは働くことで支えられていることを知った。労働は神から与えられたもので、その喜びも神から与えられるものだった。

(リンカーン演説集)110p

スプリングフィールドを去ってワシントンに向う別れの挨拶(1861211日)

・・・今私はこの土地を去ります。いつ帰れるか、果して再び帰れるか、わかりません。ワシントンに委された事業よりも、もっと困難な事業を前にして行くのです。彼を常に援け給うたかの聖なる者の守護がなければ、私はとうてい成功できません。神の護りがあれば、失敗はありません。私とともに行き、また皆さんとともに留り、どこにでも、いつもいることのできる神に信頼して、一切のことはよくなるものと今も確信いたしましょう。皆さんを神の御手に委ね、どうか皆さんも、祈りの中に私を神に委ねて下さることを願って、心をこめたお別れを申し上げます。

 

「ワシントンに委された事業よりも、もっと困難な事業」の「もっと困難な事業」とは、神から委ねられた事業のことを言っている。

 

 ワシントンに渡ってから、彼の試練はより激烈なものとなった。

(リンカーン演説集)序より

・・・政治家としての公生涯も、失敗、誤解、悪評、叛逆等々をつぶさに体験した、まことに狭きいばらの道を物語るのである。

彼の死を悼む詩人ホイットマンが、疾風怒濤の難航海を終り、ついにデモクラシーの巨船を港に導いた時、倒れた殉職の船長にたとえて、「あゝ船長よわが船長よ、われらの恐ろしき旅路終りぬ」(“Captain! my Captain! our fearful trip is done,)と歌った真率な言葉に現われるように、じつに、彼の一生は恐ろしき嶮難の行路であった。

 そのような生涯を貫くリンカーンの指針ともいうべきものを求めて、私はそれを、『正義をして成らしめよ、たとい天地は壊るゝとも〕の古語に合致する彼の精神―――利害を超絶して正義と真理とをひたすらに求むる態度―――に見出しうるように思う。それはまた換言すれば、神を畏れ、良心の声に傾聴して、その至上命令に服そうとする自主なる平民の至誠ということができよう。

 

 神の事業は難行路であった。しかしリンカーンにとって神から与えられた大統領という仕事を全うする以外のことは考えていなかった。

(エイブ・リンカーン)389p

リンカーンは、ある時ひとりの牧師さんが「神さまが北部の味方をしてくがさるように。」といったときに、すぐこう答えました―――「いや、わたしには、それはどちらでもいいのです。神さまはいつも正しいものの味方だ、ということを知ってますからね。それよりも、むしろわたし自身と国民とが神さまの味方に立つように―――と、わたしはしょっちゅう心配していますし、祈ってもいるのです」また、こんなことをいっていたこともありました――「もしも神さまがわたしに何かあることをしてほしいとかお思いになったばあいには、神さまは、それをわたしに知らせるのにおこまりになるはずはない。そう思って、わたしはまんぞくしているわけです。」

 

「わたし自身と国民とが神さまの味方に立つように」

 

第一次大統領就任演説ではこのように論じている。

「その真理とその正義とは、かならず、このアメリカ人民という法廷の偉大な判決をつうじて支配することになる」

(エイブ・リンカーン)304p

「人民に最後の正義がある、ということを、なぜ、われわれはしんぼうづよく信頼しないのでしょうか。これ以上の、もしくはこれと同じくらいの希望がほかにあるでしょうか。現在のわれわれの意見の対立にあたって、どちらの側も、じぶんが正しいと信じています。しかし、諸国民を支配するあの全能の神が、北部の側に立たれるか、あるいは南部の側に立たれるか、いずれにしても、その真理とその正義とは、かならず、このアメリカ人民という法廷の偉大な判決をつうじて支配することになるにちがいありません。

 不満をいだいている同国民(南部)の諸君! 内乱が起こるかどうかの重大な問題点は、あなた方の手中にあって、わたくしの手にあるのではない。政府は、けっしてあなた方を攻撃することはしません。あなた方自身からしかけないかぎり、衝突はありえないのです。政府を破壊するという、あなた方のちかいは、天にいれられないでしょうが、わたしのほうは『政府を維持し、守護し、防衛する』というもっとも厳粛なちかいを、ちゃんと守リとおすでしょう。」

 

第二次大統領就任演説ではこのように論じている。

「神がわれらに示し給う正義に堅く立ち、われらの着手した事業を完成するために努力いたそうでは有りませんか。」

(リンカーン演説集)187p

 全能の神は彼自らの目的を持ち給います。「この世は躓物(つまづき)あるによりて禍害なるかな。躓物は必ず来たらん。されど躓物を来たらす人は禍害なるかな」(マタイ伝)もしもわれわれが、アメリカの奴隷制度は神の摂理により当然来たるべきつまずきの一つであり、神の定め給うた期間続いて来たものであるが、今や神はこれを除くことを欲し給うのであると考え、また神はつまずきを来たらせた者の当然受くべきわざわいとして、北部と南部とに、この恐しい戦争を与え給うたのであると考えるとしますと、それは活ける神を信ずる者が当然持ってもよい考えではないでしょうか。われわれがひたすら望み、切に祈るところは、この戦争という強大な笞(むち)〔天からの惨禍〕が速やかに過ぎ去らんことであります。しかし、もし神の意思が、奴隷の二百五十年にわたる報いられざる苦役によって蓄積されたすべての富が絶滅されるまで、また笞によって流された血の一滴一滴に対して、剣によって流される血の償いがなされるまで、この戦争が続くことにあるならば、三千年前にいわれたごとく、今なお、〔われわれも〕「主のさばきは真実にしてことごとく正し」(詩篇一)といわなければなりません。

 なんぴとに対しても悪意をいだかず、すべての人に慈愛をもって、神がわれらに示し給う正義に堅く立ち、われらの着手した事業を完成するために、努力をいたそうではありませんか。国民の創痍を包み、戦闘に加わり斃れた者、その寡婦、その孤児を援助し、いたわるために、わが国民の内に、またすべての諸国民との間に、正しい恒久的な平和をもたらし、これを助長するために、あらゆる努力をいたそうではありませんか。

 

 正義と自由と民主主義を実現するための奴隷解放という神の事業であっても、リンカーンは当初は急激な改革を目指しているわけではなかった。

(エイブ・リンカーン)180p〜

・・・合衆国が分裂すれば、ドレイ制度は廃止されるどころか、かえっていまよりもぬきがたいものになってしまう恐れもあるのでした。南部がうるさい北部と手を切って合衆国から独立しようとすれば、おそらくイギリスは喜んで手を貸すでしょう。南部はイギリスの紡績工場の原料たる綿の重要な産地であり、これをじぶんの勢力の下におくことは、イギリスにとっては願ってもない好都合なことだからです。そして、もしイギリスのうしろだてによって南部が完全に独立してしまえば、合衆国政府は、もう南部の政治に口だしができなくなります。同時にドレイ制度にも、もはや手をつける機会がなくなってしまいます。南部の人びとは、北部の干渉から離れて、ドレイ制度をつづけてゆくことになるでしょう。

 して見れば、けっきょくドレイ制度をやめさせるためにも、合衆国の分裂をひきおこしてはならないわけです。あくまで南部諸州を合衆国にとどめておいて、やがて合衆国全体の意志で、それをやめさせるようにしむけてゆかねばならないわけです。・・・

・・・彼の考えでは、いまは、南部諸州のドレイをただちに解放しろと主張すべき時ではない。従来のドレイ州はしばらくそのままにしておいて、それをひろがらないようにおさえつつ、新たに設けられる州を、順々に自由州にしてゆくことにつとめなければいけない。こうしていって、やがて合衆国の大部分が自由州になったとき、そのときこそドレイ制度の死滅するときで、また、進んでこの悪制度にとどめを刺すべきときだというのです。急激なドレイ解放運動はけっしてドレイを救うことにはならない、かえってぎゃくな効果を生むことになる、というのが彼の考えでした。

 

 戦争は思ったよりも長引いて戦死者や犠牲者も増えていった。国家の費用も莫大なものになり、戦争終結が急がれた。南部の奴隷達を味方につけて、南部に大きな打撃を与えるにも奴隷解放宣言は必要だった。

「1863年1月1日以後、南部諸州のドレイは、ドレイの束縛から永久に解放されて、自由の身となる。軍と政府とは、責任をもってその自由を保証するであろう。」リンカーンはこの時にこういっている。「この文書に署名するときほど、じぶんがいま、正しいことをしているのだと安んじていえる気持ちになったことは、生まれてからまだ一度もない。」

 

(エイブ・リンカーン)385p

・・・しかし、そうしているうちに、経済力の競争がますますものをいってきました。北部には小麦があまるほどできる広大な農業がひらかれていましたし、南部にない近代的な商工業も発達していました。長い大戦争をつづけるとなると、北部が南部よりもずっと大きな財政力を待ち、また、何十万の軍隊の衣服、食糧、武器、弾薬をじぶんの手でまかなってゆける工業力があるということは、たいへんな強みでした。その上、ヨーロッパから、たえず希望をもってアメリカに渡ってくる人がありましたから、人口の点でも南部よりは上でした。時がたつにしたがって、北部は大男のように強くなってきました。

 

ゲティスバーグ演説はこう締めくくられている。(リンカーン演説集)

「われらがここで堅く決心をするため、またこの国家をして、神のもとに、新しく自由の誕生をなさしめるため、そして人民の、人民による、人民のための、政治を地上から絶滅させないため、であります。」

 

その人民についてリンカーンはこう言っている。(エイブ・リンカーン)

「神さまは、よほどふつうの人間(コンモン・ピープル)がおすきなんだね。さもなければ、こんなにたくさんふつうの人間をおつくりにはならなかったろうから―――。」

 

 奴隷を使い自らが働くことを恥と考える「南部的な諸君!」。君達の神は、君達の神により、君達を裁く日が来ることを、心得ておくべきです。

posted by: 応援しよう東北!(雑華堂) 小嶋隆義 | 日本の政治を考える | 09:50 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |